Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

立ち位置が問われる村上春樹氏(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090127#p9)関連・その後

村上春樹氏 エルサレム賞受賞 - 無造作な雲

無論、大江の文化勲章拒否がノーベル賞受賞と合わせての、関係者各位にいい顔を見せつつ自分の権威化を最大に実現してみせる大江の見事な"処世術"であるという点について、政治的だというのだ。大江作品にとって政治とは、自己のプライドを最大限に満足させる甘い蜜として、きわめて都合良くフィクショナイズされているという意味で、二重に政治的だ。


村上春樹もまた、政治的磁場から逃れられない生々しい現実を、ただ小説家としての自己の存在を成り立たせるためにきれいにフィルタリングしている、という意味で、二重に政治的だ。

文学における政治は、大江のような特権意識丸出しの差別主義者の専売特許ではない。いやむしろ村上春樹のようなカマトト風味政治を味付けして二重三重にくるんで差し出す人気作家こそ、政治的だという認識を見誤ってはならない。

http://d.hatena.ne.jp/icchan0000/20090126/p1
カート・ヴォネガットならどうする? なんてことを考えてみるのも。。。
あと、蓮實重彦さんが、「ハルキ的なるもの」を「結婚詐欺師の手口」と評していたことを思い出しました。


村上春樹氏 エルサレム賞受賞−村上春樹という問題 - 無造作な雲

そういった意味で、戦後サヨクの罪は重いといわざるを得ない。真に批判されるべきは、村上春樹ではなく、社会変革をお題目に掲げながら、自己のプライドや党派性によってその理想自身を裏切り続けてきた、戦後日本の“左翼的なるもの”なのかもしれない。


まぁ、そういうった政治的絶望につけこんで、村上春樹はのしあがってきたという意味では、やはり作者と読者のただれた蜜月関係も無視はできないというべきかもしれないが。

http://d.hatena.ne.jp/icchan0000/20090130/p1


◇ 個別論と一般論、具体論と抽象論のすれ違い、問題のレイヤーの違いについて - ビジネスから1000000光年
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20090129/1233234655


◇ 「"村上春樹"的なるもの」について - Ohnoblog 2

その下の60年代後半から70年代世代になると、そうしたぐじぐじした迷いや葛藤があまり見られない印象だ。この世代の青春期に重なる80年代は、相対主義という名の無邪気な「人それぞれでいいよね」主義が蔓延していった時代であり、「"村上春樹"的なるもの」は、たしかにそういう気分と親和性が高い。


もちろんその現象は、私の世代にも20代にも見られるものだろう。ただ、村上春樹の小説が「新鮮」なものとして受け止められ、読者が飛躍的に増えていった80年代に多感な時期を過ごした人の中に、より「”村上春樹”風ニヒリズム」は浸透しやすかったということは言えるかもしれない。


当時の村上春樹の描く小説の風景には、80年代に爆発的にヒットしたウォークマンで好みの音楽を聴きながら眺める街の風景のような感じがあった(この指摘は誰かが既にしているかと思う)。巻き込まれ型で出来事に関わらざるを得なくなっていく人物がよく描かれたが、その小説の受容レベルにおいては、自分は風景に取込まれることも関わっていくこともなく、ただ透明な膜を通してそれを眺め「やれやれ」とか溜息をつきながら通過していく、そんなメンタリティが共有されているようにも感じた。これはなかなか「気分の良いもの」だったのではないかと思う。

村上春樹は非常に注意深いやり方で「コミットメント」している作家だと思う。彼のテーマである「暴力」にはおそらく、わかりやすい権力の暴力も戦争の暴力も左翼の暴力も宗教の暴力もテロの暴力も、ありとあらゆる「暴力」が含まれるだろう。それに押し潰される多くの人々と、「キャッチャー」としての役割を果たそうとする人。閉塞感とほんのわずかの希望。


誤解を怖れずに言えば、これはある意味「世界最強の世界観」である。だからこそ支持を得やすいのかもしれない。

http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20090130/1233310687


◇ えええいぇるされむくろにくる

ここからノーベル賞5人も出てるんだね。ということは、ノーベル賞にかなりリーチポジションへのステップでもあるわけだ。そりゃほしいよ。

どんな人が審査員か調べてみた。市長が任命か、なるほど。政治の世界だな。ハアレツの編集員とか... 、

ありゃ、エトガール・ケレットが3人の審査員のうちの1人じゃないか。

イスラエル人みんな悪〜い、賞も悪〜い、もらうのよくな〜い」みたいなのってちょっと短絡的じゃないかな、ということで、ちょっとけれっと。

http://anond.hatelabo.jp/20090130040254


エルサレム賞に関してもう少し - 逃・逃避日記

色々と並べたのだけど、結局のところは「よくわからない」ということに尽きる。ただ、ソンタグの下記の発言は重い。ボイコットを呼び掛ける人は、この発言の意味するところについて、良く考えておくべきだろう。

文学の叡智とは、たんなる意見をもつこととは正反対のことです。ヘンリー・ジェームズは「なにかについて、これが最後の言葉だというようなものはない」と言ったことがあります。尋ねられて意見を述べるということは、それが適切な意見だとしても、小説家や詩人がやっている最善の仕事、省察を深め、複雑さを感受するという仕事を安っぽいものにしてしまいます。

わたしたちに意見を述べさせるのは、有名人や政治家たちに任せておきましょう。作家であることと、公的な意見を述べる声であることの両方を遂行することに意味があるとすれは、作家は自分の意見や判断を作り上げることは重大な責任を伴うものだということを肝に銘ずるべきでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/le-matin/20090128/p3


村上春樹さんのエルサレム賞受賞 - A Prisoner in the Cave

 mojimoji さん紹介のスーザン・ソンタグのスピーチの件は、全く知らなかったが、指揮者、ピアニストのダニエル・バレンボイムエドワード・サイードの盟友である)が「ウルフ賞」を2004年に受賞した時に、イスラエルの右派政治家が出席しているその場で、イスラエルの独立宣言を引きながら、占領政策を批判している。

 その様子は、下記ドキュメンタリーで見ることができる。イスラエルの政治家はバレンボイムのスピーチに拍手せず、ウルフ財団の人はかんかんに怒っていたけれど、私はこの映像を見て、バレンボイムがますます好きになった。

http://d.hatena.ne.jp/eirene/20090126/1232943237


YouTube - Ovation TV | Knowledge is the Beginning

A Film by Paul Smaczny, Knowledge is the Beginning is the story of the West-Eastern Divan Orchestra where young Arabs and Jews perform side by side. The film illustrates how prejudices are overcome during rehearsals, concerts and after-concert celebrations. It also demonstrates the problems that crop up occasionally and how music can help people from different points of view find common ground. For Daniel Barenboim, founder of the ensemble, the orchestra is a symbol for what could be achieved in the Middle East.

This clip shows Mr. Barenboim accepting an award from the Wolf Foundation.

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>>>村上春樹に会いに行く - aiaiときどきブログ - プレジデント
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081022#p9

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>>>Twitterツイッター/トゥイッター)の村上春樹
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080205#p4


>>>村上春樹Ⓐも存在するんでしょうか?
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080806#p2


>>>何となく連想で。。。
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20071013#p4

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>>>So it goes...?

「そういうものだ」は
「そういうものだ」から始めるための言葉であって
「そういうものだ」にとどまるための言葉ではないと思うので
「そういうものだ」を
「そういうものだ」と表層で理解し
「そういうものだ」という斜に構えたスタイルとしてたやすく消費してしまう
「そういうものだ」信奉者? 村上春樹からの素朴な遡行? には軽い抵抗感を覚えてしまいます。

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070414#p2

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YouTube - 文化人の語学力2 村上春樹

フランツ・カフカ賞受賞時のスピーチ。
来世牧童になるために「それは政治ではなく、人としてどうなのか?ということだろう」(http://d.hatena.ne.jp/manuka/20090129/1233228969)経由。