Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ジャック・ランシエール『イメージの運命』(訳:堀潤之 平凡社)

今日の芸術の役割を鋭く問う鬼才のイメージ論。ゴダール『映画史』のモンタージュ、モダニズムの言説、工業デザインの思想的背景などを分析しながら、美学と政治哲学を架橋する斬新な一書。

http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=702085

1 イメージの運命(イメージの他性
イメージ、類似性、原‐類似性
あるイメージ性の体制から別の体制へ
イメージの終焉は私たちの背後にある
剥き出しのイメージ、直示的なイメージ、変成的なイメージ)
2 文章、イメージ、歴史(共通の尺度なしに?
文章‐イメージと大並列
家政婦、ユダヤ人の子供、教授、弁証法的モンタージュ、象徴的モンタージュ)
3 テクストの中の絵画
4 デザインの表面
5 表象不可能なものがあるのかどうか(表象が意味するもの
反‐表象が意味するもの
非人間的なものの表象
表象不可能なものの思弁的な誇張)

http://books.livedoor.com/item/3811403
http://www.amazon.co.jp/dp/4582702856


◇ ジャック・ランシエールの『イメージの運命』 - les signes parmi nous

 さて、タイトルからも予想できるように、本書は芸術論であり、全体を通じて数多くの芸術作品が取り上げられている。バルザックフローベール、ゾラ、マラルメなどの19世紀の文学、グルーズやシャルダンゴーギャンの絵画、アーツ・アンド・クラフツ運動やドイツ工作連盟によるデザイン、さらには《ここにある》〔Voici〕や《そこにある》〔Voilà〕といった2000年代の大規模な現代美術展、ビル・ヴィオラの大がかりな映像インスタレーション作品(Going Forth by Day, 2002)、ランズマンの『ショアー』(Shoah, 1985)、ゴダールの『映画史』(Histoire(s) du cinéma, 1988-98)などである。


 ランシエールの記述は、これらの流れや作品について、読者に一通りの知識があることを前提にしている。しかし、本書には、図版が1枚(『映画史』4Bのスチル写真)しかない。それによって本書の理解が困難になっているということはないが、図版はあるに越したことはない(むろん、Traficのようにあえて図版を載せない映画雑誌もあるが、本書にそのような意図はおそらくないだろう)。そこで、訳出作業中に参考資料として集めた図版その他を、近いうちに、問題のなさそうな範囲でここに公開することにする。といっても、いくつかの肝心な図版を紛失したりして、大したものはないのだが、まずは予告まで。

http://d.hatena.ne.jp/tricheur/20100318/1268895764
訳者である堀潤之さんのはてなダイアリーより。
すでに参考図版がアップされはじめています→id:tricheur


ランシエール『イメージの運命』の原文 - les signes parmi nous

 しかしインターネット上には悪い人(というよりは、粗忽者?)がいるものである。表に出てしまっているものは仕方ないので、リンクを貼っておく。なお、このPDFファイルをGoogleが自動的にHTML変換したものをどうにかして手に入れれば、書籍内の全文検索も可能である。もし明らかな誤訳や、疑わしい箇所を発見されたら、ぜひご連絡いただきたいと思っている。

http://d.hatena.ne.jp/tricheur/20100326/1269595028


◎ HORI Junji's Site
http://www003.upp.so-net.ne.jp/jhori/