Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

谷口幹也、フランシス・ベーコンを語る

http://www.naruto-u.ac.jp/~yamaki/WJAE/taniguchi.html


◇ 『肉への慈悲 フランシス・ベイコン・インタヴュー』 - All Cretans are Liars
http://the-cretan-said.blogspot.jp/2009/09/blog-post_7246.html


◇ 保坂健二朗さんによる、フランシス・ベーコン展をめぐるツイート - Togetter

『肉への慈悲』をめぐる問題

ベーコン展の情報が広まりつつあって嬉しい。『肉への慈悲』の復刊希望のツイートもあるようだが、あの本は、原著も日本語訳もいろいろ問題があるのでややこしい。原著の問題は、ベーコンの本質にかかわる。最初のインタビューは1962年で刊行は1975年。ベーコンが生まれたのは1909年。

(承前)つまりそこに収められているのは、ベーコンが53歳から65歳までの言葉。すでにテート、グランパレ、メットで個展をやったアーティストの。当然、「編集」が(あるいは「戦略」)が相当入っている。その言葉をそのまま信じ込むのはとっても危険(といってもとても魅力的な言葉なんだが)。

(承前)しかし、とりわけ「影響」関係については、言及されていない(「抹殺」された)アーティストが多い。そのうちのひとりが、イギリスのリアリズムを代表するウォルター・シッカートWalter Sickert。この人の絵は相当面白い。いつか日本で展覧会をやってみたいが、無理だろうなあ。

(承前)『肉への慈悲』の日本語版の問題点は、その訳語にある。大意を掴むことに問題はないが、芸術額を学んできた者としては看過できない間違いがあったりする。たとえばpaintを絵画と訳している箇所があったりするなど。なので、ベーコンそして絵画に興味を持つ人は原著も手に入れてください!

(承前)だからもし今『肉への慈悲』が復刊されるとしたら、それは充分な訳注をつける形で新訳される必要があるわけです。ちなみにインタビューをしたシルヴェスターは、プライベートな場では、晩年のベーコンについて「偉大な人物だけれど二流a secondary」と述べていたとのこと(苦笑)

http://togetter.com/li/444569?page=2