最近のニューヨークの画廊街は、マンハッタンだけでも、チェルシーの他にアッパーイーストサイドやロワーイーストサイドに画廊が拡散。またソーホーの再活性化も指摘されていて、多様な活況を示している。
とはいえ、美術学校を卒業したての若い作家にとっては、画廊の隆盛はむしろ他人事。生活費を稼ぎながらのアーティスト稼業は生半可な現実ではない。そんな作家たちを支援するために、たとえば自宅を開放して展覧会を企画しよう、という考え方も出てくる。もちろん、在宅画商にはじまり、自宅をアートスペースとする先例は少なくない。
今回紹介するIf and Wenなるスペースは、蔡文悠(サイ・ウェンユウ)の居住空間。もともとは父で現代作家の蔡國強の自宅だった。NYに自宅があり、しかも幼少時から国際美術界になじんできた、という二重に恵まれた環境を生かしての試みという点で、ささやかながら興味深いスペースである。