Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ユーロスペース | 輝ける青春

監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ
出演:ルイジ・ロ・カーショ、アレッシオ・ボーニ、アドリアーナ・ボスティ、マヤ・サンサ

2003年/イタリア/366分/カラー/35mm

輝ける青春」は第56回カンヌ国際映画祭・ある視点部門で上映されるや、6時間というけた外れの上映時間にも関わらず、熱狂的な喝采を持って受け入れられた。『旅芸人の記録』(232分)、『1900年』(316分)、『ファニーとアレクサンデル』(311分)など“人間と時代”を描いたヨーロッパ映画の伝統を継承する、新たな傑作の誕生を世界中から集まった映画人たちが祝福したのである。 また本作は、イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞をはじめ、数々の映画賞を受賞し、本国イタリアでは当初8館だった上映館が30館に拡大され、パリでは18区の映画館で1年間に渡るロングランを記録している。

愛すべき家族の物語
世界の若者が新たな理想に胸を焦がした1960年代から21世紀の幕開けまで−激動の20世紀後半を歩んできた、イタリアの光と影。『輝ける青春』は愛すべき兄弟とその家族がその大きなうねりの中で歩んだ37年間を通して、この時代の息遣いを見事に描き出した珠玉の年代記である。何気ない日々の暮らしの中に輝く家族への想い・・それがどんなにいとおしく、かけがえのないことか、この映画はあらためて私たちに気づかせてくれる。「青春」とは、そんな風に人生を愛する気持ち、そのこと自体を示すのかもしれない。

物語は、ひとつ違いの兄弟ニコラとマッテオを中心にカラーティ家の人々の人生を描いていく。希望を胸に人生を切り拓いていく兄ニコラと、才能がありながら、繊細すぎて人生とうまく向き合うことができない弟マッテオ。ふたりが、フィレンツェの洪水や、トリノ学生運動、そして「赤い旅団」のテロ活動といった事件を目撃し、体験する中、20世紀後半のイタリアという国の姿が浮き彫りにされていく。そして、社会が大きく変わって行く中、カラーティ家にも様々な変化が訪れる。ニコラの娘の誕生、愛する父親の死や次女の結婚…はかり知れないほどの人生の喜びと悲しみ。観客である私たちも、物語の進行と共に、ニコラやマッテオと一体になって、心を躍らせ、心を痛め一家の出来事を自身の肌で体験することになるのだ。

http://www.eurospace.co.jp/detail.html?no=27


◇ WEB版「航空と文化」 あの頃のチューリッヒ ドイツ赤軍とルフトハンザ 横山英利子
http://www.aero.or.jp/web-koku-to-bunka/12.15yokoyamascript.htm