Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

NEW JAPANESE PHOTOGRAPHY 写真家たちの併走者 - papersky

1974年、15名の日本人写真家による『New Japanese Photography』展がMoMAニューヨーク近代美術館)で開催された。参加写真家は、土門拳石元泰博東松照明、川田喜久治、内藤正敏、一村哲也、土田ヒロミ、深瀬昌久奈良原一高細江英公森山大道、秋山亮二、ケン・オハラ(小原健)、田村彰英、十文字美信。そして、キュレーターは、MoMA 写真部門ディレクターのジョン・シャーカフスキーと『カメラ毎日』編集長の山岸章二。日本の写真がはじめて本格的に海外に紹介された記念碑的な展覧会として、その意義は写真関係者の間では周知のものだ。しかし、そのカタログの謝辞に、翻訳などの手助けをした石元泰博の名に続いて、ある日本人の名が記されていることはあまり知られていないだろう。


“Toshio Saito”。その名の後には、「各写真家の過酷な個人基準に応じて、展覧会プリントを制作してくれた」という言葉が添えられている。


細江英公、ケン・オハラをのぞく13名のプリントを仕上げた“Toshio Saito”とは、現在、赤坂にあるPhotographers’ Laboratory でモノクロのプリンターを務める斉藤寿雄さんのことである。謙虚な斉藤さんは照れてしまうかもしれないが、「戦後日本写真と併走してきた伝説のプリンター」と呼んで、異議を唱える人はいないはずだ。

http://www.papersky.jp/2010/11/30/new-japanese-photography/