Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

デレク・ベイリーの『Standards』 - Sightsong

「私の練習は以上のようなものだが、これらを総合して異端とみる即興演奏家もいるに違いないとおもう。演奏するごとに、そこに生じてきたあらゆるものと唐突な対面をするやり方を好む人もあるだろう。準備されて裃を着た音楽、慎重に備蓄された武器弾薬といった性格をもつものにいっさいうすめられていない、自己完結した唯一無二の経験をこそしたい、というわけである。私もこのような観点に憧れているが、私自身の経験からいうと、そのいきつく先は唯一無二の経験の連続ではなく、複製された経験の連続なのである。論理的な理想をいえば、このような即興演奏を一度して、あとはけっして演奏しないにこしたことはない。そのようなわけで、私はもうひとつの方法、つまり練習をするアプローチのほうを選んでいるともいえる。ソロ・インプロヴィゼーションでえられる夢中状態の連続というのは、私にとって練習に対する褒美のようなものなのだ。」
デレク・ベイリーインプロヴィゼーション 即興演奏の彼方へ』(工作舎

曲それぞれの最後に、宝物のようにではなく、淡々とスタンダード・ナンバーのメロディに移行すること。これは即興演奏におけるヴォキャブラリーに関して、一見その場限りの創造であるものと、素材・手癖とを、公平に見ていたことを示すものだろう。楽器は異なるが、エヴァン・パーカー(サックス)が、50分弱もある演奏の中で、何の衒いもなくコルトレーンの「ナイーマ」に移行したことも思い出す(Orselli-Parker-Salis『TRUE LIVE WALNUTS』)。

http://pub.ne.jp/Sightsong/?entry_id=773304


Derek Bailey 'Standards'
http://www.amazon.co.jp/dp/B000P6R8JU

往復書簡の反響 - pentaxx備忘録

  なにも僕は最高のクオリアをこの手で終わらせたくなったわけではないのです。王様は裸だと叫びたいわけでもなありません。ただ、言うべきことを言うのに、僕の代わりがいないならしかたがない。それは、なにも悪いことじゃない。まあ、大体そういうような真摯なスタンスであります。

http://d.hatena.ne.jp/pentaxx/20070805
菊地成孔さんのメッセージについて、
さっそく斎藤環さんが言及されています。


※ 脳ミュージック、脳ライフ - PELISSE 速報閲覧ページ
http://www.kikuchinaruyoshi.com/dernieres.php?n=070804023322
※「斎藤環×茂木健一郎 往復書簡」は、その後どうなったんでしょうか?
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070805#p2

ジェラルド・M・エーデルマン『脳は空より広いか―「私」という現象を考える』

「私」が感じるこの「感じ」、すなわちクオリアは、誰とも共有できず、どのような精巧なコンピュータでも再現できない。
脳はいかにして、これほどまでに多様で複雑なクオリアを生み出すのか。
なぜ意識には「私」が生じたのか?そもそも「心」は脳の活動によって説明できるのか?神経ダーウィニズム、ダイナミック・コア仮説―驚くべき理論を次々と打ち出し、現在の脳研究のあり方を決定的に変えてきたノーベル賞科学者が、初めて一般向けにやさしく最新の理論を説く。
スリルと驚くべき知見に満ちた脳・意識論。


ヒトの心―ダーウィンのプログラムを完成させる
意識―想起される現在
脳を構成する要素
神経ダーウィニズム―脳の大局論に向けて
意識のメカニズム
脳は空よりも広い―クオリア、統合、複雑系
意識と因果作用―現象変換
意識と非意識―注意と自動的動作
高次の意識、そして表象について
意識の理論、意識の特性
自分であること―自己・死・価値
心と身体


世界中の脳科学者、心理学者、哲学者が待ち望んでいた、脳科学界の泰斗によるクオリア問題への解答。
「私」が感じるこの「感じ」。「私」と「感じ」はいかにして脳から生まれるのか?世界中の科学者、哲学者が苦悩する難問に、ノーベル賞受賞の脳科学者がついに答える。驚くべき知見に満ちた書。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4794215452.html
http://www.amazon.co.jp/dp/4794215452


◇ J・M・エーデルマン「脳は空より広いか 「私」という現象を考える」 - 日々平安録
http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/20070402/1175441782


◇『脳は空より広いか…』=ジェラルド・M・エーデルマン著 - 毎日新聞社:今週の本棚 : 海部宣男・評 
http://hondana.mainichi.co.jp/2006/12/post_7fbc.html