Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

土居下太意+時里充「照準と流出」@art space kimura ASK? (2F) + ASK?P (B1F)

6月20日(水)〜7月5日(木) ※11:30〜19:00 日曜休

 「照準と流出」というテーマが一種必然的なものとして筆者の中に訪れたのは、彼らが日常機器を用いて情報のフィードバック・プロセスを扱う点で共通しながらも、情報の扱いや表現が対極的だったことによる。改造され異形化した巨大なマシンをさらに複数の機器へと接続することで途方もない拡張へと向かう土居下、ミニマルでコンセプチュアルな自己言及性へと収斂していく時里。この鮮やかなコントラストは、相反しているようで実は根底でつながっているのではないか。それを開示するためのキーワードが、「照準と流出」である。
 土居下と時里は、今年3月に同じ大学の同じコースを卒業、在学中は互いの作品に触発されていたという。今回のフレーミングは、
潜在的な感応を行っていた2人の作品を、「照準と流出」という補助線を引くことで明るみへと誘導し、新たな位相へともたらすためのものである。
 「照準」は、何らかの主体が特定の目的をもってターゲットを定めるという、一方的でリニアなヴェクトルをもつ。それに対して「流出」は、照準からはみ出てしまう、ノンリニアで収集のつかない、予測不可能な受動的許容態と言えるだろう。軍事・視覚技術に由来する「照準」が、世界を静止的かつ予定調和的に獲得しようとする運動だとするなら、「流出」は、世界を特定の意図において表象させえない動的分散としてある。
 「照準」と「流出」は、根本的に相容れない世界観をあらわすかのように見える。しかし両者は、まさにそのことによって相互補完性を獲得している。なぜなら一方(照準)を究極的に突きつめるほど、もう一方(流出)――そこからはみ出すもの――も増加してしまうからである。また両者は、世界を情報の入出力プロセスとしてみなすという世界観においても連続的関係にある。
 土居下作品では、体験者がペンタブレットを使用して入力へと「照準」を合わせようとしても、巨大なインターフェイスの身体的負荷も手伝い、意図的な制御が困難な状況に置かれてしまう。情報的にもこの作品は、異質のメディアが接続されることで、データが意味もなく
「流出」する、一種ナンセンスな状況にさらされる。時里作品では、カメラが互いに照準を合わせ撮影しつづけるフィードバック・ループを形成することで、瞬時の連続的積層によるただならぬ緊張感に空間が支配されている。ここでは「照準」が、相互を縛りつつも関係性の無限ループに開かれることで、予測不可能な「流出」的状況を生み出すことになる。
 加えて二つの展覧会を比べるなら、その構造やインスタレーション、データプロセスのとりとめのない拡張性によって、土居下作品に
「流出」的傾向を、作品やシステムのミニマルなセットアップと収斂性によって、時里作品に「照準」的傾向を、より強く見てとることができるだろう。
 それぞれ「照準」と「流出」的なものと解釈できる二つの展覧会。各展覧会において入れ子的に潜在している「照準」と「流出」‥。そこには、異なるメディアや装置に接続され、情報やコードが変容しつづけるプロセスを創造とみなすまなざしが息づいている。


四方幸子(「照準と流出」キュレーター)
 


■作家略歴
【土居下 太意 プロフィール】
1989年生まれ。
2012年多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース卒業。
多摩美術大学大学院美術研究科在籍。
「くだーtube」、エフェクトをコンセプトに、主にパフォーマンス作品を制作している。
2011年第17回学生CGコンテストにて本作が審査員賞を受賞。


【時里 充 プロフィール】
プロフィール:1990年生まれ。
2010年 IAMAS(国際情報科学情報芸術アカデミー)DSPコース卒業。
2012年多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース卒業。
 


■イベント
≪ ライブパフォーマンス ≫
6月23日(土) 17:00〜19:00
土居下太意〈shという発音の出し方と移動〉&more !


≪ アーティスト・トーク
6月30日(土) 17:00〜19:00


※イベントは両日とも入場無料です

http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/2012/shikatasyou.htm

〒104-0031東京都中央区京橋3-6-5木邑ビル2F  TEL 03-5524-0771 FAX 03-5524-0772

http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/
2人展ではなく、それぞれの個展を同時に開催するといった内容とのことです。

核のごみ 地層処分ムリ 日本学術会議でも解決見えず - 東京新聞 (TOKYO Web) 2012年6月18日 07時04分

 原発から出る核廃棄物の処分場はいまだに受け入れ先が白紙だ。原子力委員会の依頼で、日本学術会議(会長・大西隆東大大学院教授)が解決の糸口を探るため二年前に議論を開始。だが今月上旬に出した結論は、地下深くに埋める現行の処分方針では安全性の確保も受け入れ先を見つけるのも難しく、方針転換が必要との内容で、一から考え直すことを提起した。近く報告書をまとめるが、将来に負の遺産をつけ回す原発の最大の問題点があらためて浮かんだ。 (榊原智康)
 毎時一五〇〇シーベルト(一五〇万ミリシーベルト)と人がわずか二十秒で死に至る放射線を放つ高レベル放射性廃棄物は、処分がやっかいだ。国は二〇〇〇年に関連法を制定し、廃棄物をガラスで固め、地下三百メートル以上の地層に埋める「地層処分」方式を採用した。しかし、処分場の受け入れ先はまったくめどが立っていない。
 何とか打開策を見いだそうとした原子力委は一〇年、学術会議に知恵を出してもらうよう頼んだ。
 「研究者の国会」とも呼ばれる日本学術会議は、人文、社会、自然科学などの研究団体から選ばれた会員でつくる。今回の「核のごみ」問題では、原子力工学や地質学、歴史、社会、経済などさまざまな分野の研究者で検討委を組織し、議論を続けてきた。
 核のごみの放射線レベルが十分に下がるまでには約十万年という想像もできないような時間がかかる。
 日本はもともと地震や火山活動が活発なことに加え、議論を始めた後、東日本大震災が発生し地殻変動も活発化している。
 検討委は、そんな現実の中で、十万年間安全だと説明しても住民の理解は得られないとみて、地層処分からの方針転換を議論。五十〜数百年にわたって暫定的に貯蔵し、その間に抜本的な解決策を探る、と先送りの案も浮上した。
 「将来世代にごみを送り続けるのは現代人のエゴだ」「未来の人類の知恵にすがらなければ、最終的な決定ができないとわれわれの限界を認めなければならない」
 今月七日の検討委でもさまざまな意見が出た。結局、一致したのは、地層処分では住民理解は進まず、行き詰まりは解消されない−ということだった。
 検討委は八月下旬にも報告書をまとめ、原子力委に提出する予定。検討委員長の今田高俊東京工業大教授(社会システム論)は「脱原発を進めても核のごみ問題の議論は避けられない。われわれの検討結果が、国民的な議論を呼び起こすことを期待している」と話している。

http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:83iGhen1GpYJ:www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061890070441.html+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp

32万の声切り捨て 原発都民投票否決 - 東京新聞(TOKYO Web) 2012年6月19日 07時14分

 原発稼働の是非を問う東京都民投票条例案を審議していた都議会総務委員会は十八日、自民、公明の反対多数で否決した。民主と生活者ネットの共同修正案は可否同数となり、委員長が裁決した。東京電力福島第一原発事故を受け、市民が請求した住民投票条例案の否決は、大阪市に次いで二件目。
 都議会(議員数百二十四人)は、石原慎太郎知事を支持する自公など与党勢力と、民主など野党勢力が六十二人と同数だが、採決に参加しない議長を民主が出しているため、二十日の本会議でも反対が過半数を占め否決される見通し。
 条例制定を直接請求した市民グループ「みんなで決めよう『原発国民投票」は、原発が立地する静岡県での住民投票を目指して既に署名集めを開始。新潟県でも近く始める予定で、舞台は原発立地県に移る。
 公明はこれまで態度表明を控えてきたが、十八日の総務委で初めて「都民投票は原発稼働の是非を二者択一するもので、多様な都民の意思が正しく反映されない」などと反対意見を明らかにした。
 総務委は市民グループが作成した原案のほか、共同修正案、共産の修正案を審議。共同修正案の採決では、共産も賛成に回り、可否同数となったが、吉倉正美委員長(公明)の裁決で否決された。
 原案の採決では、民主が党議拘束を外したため、一人が反対に回り、賛成六人に対し、反対八人で否決。共産の修正案に賛成したのは共産、ネットの二人だけだった。
 条例案には石原知事が「原発稼働の是非は国家の安危を左右する問題。政府が専門的な知見を踏まえ、冷静に判断すべきだ」などと反対を表明していた。
 二十日の本会議では原案否決の委員長報告があり、原案の採決のみが行われる。民主は党議拘束をかけない方針で、原案が永住外国人を含む十六歳以上を投票資格者としていることなどから、反対に回る議員もいるとみられる。
 市民グループは昨年十二月、地方自治法に基づき、署名活動を開始。請求に必要な有権者の2%を大きく上回る三十二万三千七十六筆の有効署名を集め、五月に条例制定を直接請求していた。
◆都議会各会派の意見
<民主>
 三十二万を超える都民が条例を提出した熱意と行動に大いに敬意を表する。その思いを受け止め真剣に議論するため、請求代表者から理由を直接聞くなど精力的に調査検討を重ねた。都民の意思表明の場があってしかるべきだ。原発稼働の是非は国に第一義的な責任がある。福島県など原発立地地域や地元住民の多岐にわたる問題があることも考慮すべきだ。投票結果の反映方法などで必要な修正をし、都民投票の実現を求める。
<自民>
 都民が快適な生活を享受できるのは、原発立地地域が葛藤を経て原発を受け入れ、電力を送ってくれたから。敬意と感謝を忘れてはならない。電気を頼る東京が、立地地域の存立に甚大な影響を与える判断をするのは慎むべきだ。多岐にわたる課題の最適な解決策を編み出すには、国民的討議を経て、国が全体を俯瞰(ふかん)したエネルギー戦略を構えることが最も重要だ。都民限定の住民投票で、原発問題に決着はつかない。
<公明>
 都民投票は原発稼働の是非を二者択一するもので、多様な都民の意思が正しく反映されない。比較多数で都民意思とすることも合理性を欠く。原発稼働の是非は東電管内の他県や全国にも影響を及ぼすもの。電力消費地を東京都に限定すべきではない。原発稼働は国のエネルギー戦略など多様で複合的に考慮すべきだ。公明党原発に依存しない社会を目指し、新しい原発着工を認めないなどして次世代に安全安心を引き継ぐ。
<共産>
 条例案は多くの署名が寄せられ提出されたもので、最大限尊重されるべきだ。原発事故は歴代政府が警告を無視して原発を推進してきた結果で、多くの都民がもはや国に任せられないと判断するのは当然だ。エネルギー政策は国家課題との理由で知事は都民投票を否定しているが、東京都も新しいエネルギー政策を発信しており、反対する理由は成り立たない。都民投票は間接民主制を補完する重要な手段で、拒否は許されない。
<ネット>
 知事は原発稼働は国家の安危に関わるから国の責任で判断すべきだと条例に反対しているが、3・11以降すべてが大きく変わり、これまでの価値観の延長では済まない。国家の安危に関わることが起きているから、都民が立ち上がり議論しようとしている。無関心に電力を享受してきた責任を自覚し、今後のエネルギー政策を自分たちで考えたいという都民の意思を重く受け止め、民主主義を成熟させる条例制定を強く求めたい。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061990071450.html