Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

B それをいわゆる鍵盤楽器らしく

演奏してたんだよ。そのあと徐々に身体のアクションから遠ざかっていって、鍵盤をスイッ
チとして使うようになっていったんだ。ピアノを弾くときは、ある音を出そうとしたらその
音を得るのに正しい動きをしなくちゃいけない。強さとか早さとかもすべて。でもサンプラ
ー・キーボードの場合は、弾き方によってもたらされる音の変化は限定的だから、結局自分
の思い込みということになる。動くということが音楽に必要ではないから、自然に動かなく
なっていったんだと思う。
N むしろ動かないほうが見えたり聞こえたりするものがあるかもしれないとか?
B そうだね。動かないほうが得られるものが多いということもある。それは、ゆっくりと
した変化をつくっていくというタイプの電子音楽の場合には、特性とも言えるし。


B:ボリス・バルチュン(Boris Baltschun)
N:中村としまる(Toshimaru Nakamura)

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N つまり逆に言えば、現在はスティーヴ・レイシーからもジャズからも離れて、別のこと
をやっているということですか?
B そうだね。なにか楽器を始めると、その楽器らしい音を獲得するためには長い時間がか
かるんだ。そのために、その楽器がそれまで使われてきた音楽を勉強するということが必要
ではある。いろいろなアイデアを持つことはできるけれど、実際にその音を出せるようにな
るためには練習が必要なんだ。それで僕の場合は、スティーヴ・レイシーを研究しジャズを
演奏することで、この楽器の音が出せるようになった。で、実際に長い時間をかけてきたか
ら、ほかのなにかを始めるのに、また新たにすごく時間がかかった。逆に今度は、あのころ
の様に演奏ができなくなってしまった。


N:中村としまる(Toshimaru Nakamura)
B:アレサンドロ・ボセッティ(Alessandro Bosetti)

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以上、『IMPROVISED MUSIC from JAPAN EXTRA 2006』より
http://www.japanimprov.com/imjlabel/308-9/index.html
http://www.japanimprov.com/imjlabel/308-9/index-e.html


Boris Baltschun
http://www.creativesourcesrec.com/artists/b_baltschun.html
http://www.japanimprov.com/cdshop/goods/creativesources/cs-009.html


◇ alessandro bosetti
http://www.melgun.net/
http://www.purple.dti.ne.jp/naya/contens/event/061210alessandro.htm


◇ Serge Baghdassarians / Boris Baltschun / Alessandro Bosetti / Michel Doneda - Strom
http://www.japanimprov.com/cdshop/goods/potlatch/p-204.html