Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

Essay『作家の生活』 金村修 - Renaissant 17(1995/10/15)

7月X日  毎日同じことの繰り返しに、こういうのをルーティン・ワークって言うんだなとか、山川健一的なダサい言葉か頭に浮かぴそうになる。ところで俺は“ワールド・ミュージック”とかいう言葉が嫌いだ。あんなもん聞いて喜んでいる連中っていうのは、動物園でゴリラを見て喜んでいる連中と同じ頭の構造だ。動物がそんなに偉いか。同一的な共同体のアイデンティティに身をすり寄らしているだけじゃないか。今日も撮影をする。
7月X日 文句を言っているヒマがあったら、ともかく撮影する。
7月X日 TVでロックバンドを見ていたら。どこの連中もFからGとか、BbからCとかの平行コード移行のオンパレードだ。こいつらテンション・コードとかSus4とか知らないのかい。Bbのブルース・スケールそのまんまで、アドリブプレイばっかりやっているんじゃねぇよ。ユニゾンで怒鳴り合うのがコーラスって言うのかい。少しは、ビーチボーイズでも聴いてみたらどうだい。和声学をかじってみろとは言わないが、最近どうして、こうもユニゾンばかりなんだ。ボーカルが音をつかめないのか、まあ、もうロックになんて未来はない。未来の音楽は「音波測定者j(サティ)のもんだ。エイフェックス・ツインやスズキスキーの方が絶対に未来より先をいっている。
7月X日  ユタ・カワサキのテープを高円寺のパリペキンで買う。すごい。ソウルは消滅した。
7月X日  深夜京王多摩川で乱闘。相手の顔に思いっきりカメラをたたきつける。
 マキナ6×7おしゃか。

http://www.ipm.jp/ipmj/renaissant/re17.html