「パリ挑戦権獲得!©アタック25」という感じでした。
断片による謎解きというか。
功成り名を遂げた作家だからこそできる展示ではないでしょうか。
しいて言えば、Room 1 は凸で、Room 2 は凹。
今回の展示は、(光の)透過と遮蔽がテーマなのかなと思いました。
トマ・アブツ(Tomma Abts)のペインティングを思わせる「Lighter」は、
より「Richter」(ゲルハルト・リヒター)に接近といった感じでしょうか。
ティルマンスとシャイン(schein)、ティルマンスとアトラス(Atlas)。
カラーチャート→「Freischwimmer」→「Memorial for the Victims of Organized Religions」→「Lighter」
あと、ブレボケと暗室操作による作品(Room 1 の右奥)や、
大伸ばししていた写真の複写による作品もリヒターを思わせるかもしれません。
Room 1 に展示されていた、使用済みスコッチテープによる須田悦弘的な彫刻作品(?)
おそらく Not For Sale がユーモラスでした。
スタッフの方によると設置のときにアタリ用に使ったもので、
ティルマンスが即興的に作ったとのことでした。
単純な読みですが、
キルギスタン(キルギス共和国)のトランスジェンダーについてのデモ(?)の写真あたりが、
いちばん言いたいことなのかもしれません。
たとえば、ナン・ゴールディン的状況(拡大家族とその崩壊/死)が、
ティルマンスの周辺でも加速していて、
そうした現状が彼を悩ませているとか。
ヨッヘン・クライン(Jochen Klein)*1のエイズによる死から
10年が過ぎたことも関係しているのかもしれません。
ティルマンスのインスタレーションにおいて、
つねに会場のいちばん高い位置に展示されてきた(例外もあるかもしれませんが)
ティルマンスが病床のヨッヘン・クラインの手を握っている写真、
荒木経惟さんと陽子さんの写真を思い出さずにはいられないあの写真が
今後どういうふうに展示されていくのか、
あるいは、もう展示されることはないのか、
ということが気になるところです。
まだ見てませんが、
森美術館「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」
http://www.mori.art.museum/contents/history/index.html
のインスタレーションがどうなっているのかも気になります。
◇ Wolfgang Tillmans
http://www.tillmans.co.uk/
「HIV book」のpdfがアップされています。
>>>西新宿でヴォルフガング・ティルマンスと握手
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080410#p8
>>>Gerhard Richter
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20071227#p3
>>>アアーーカカイイブヴ
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20071124#p2
>>>注釈を
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070703#p5
>>>2005年7月ごろのメモ(mixi)より
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060702#p2
>>>リヒターのグレーは何パーセント・グレー?
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060328#p1