□ 今橋映子『フォト・リテラシー−報道写真と読む倫理』(中公新書)
[要旨]
現代社会で日々生まれ、流通し続ける報道写真。一見しただけで見尽くしたような気になり、曖昧な記憶の底に沈んでしまうことも多いだろう。しかしそれらは、写真家のどんな意図で撮影され、誰によって加工され、どのように編集・流布されたのだろうか。本書は、写真の「読み方」を問い直す試みである。作り手の立場だけでなく、見る側の力が問われている今、世界と時代とを思考するための新しい必読書が誕生した。[目次]
1 写真は真実か?(決定的瞬間という罠;一枚の写真から;フォトジャーナリズムの成立―両大戦間パリの事例から;写真における「現実」);2 写真の流通現場(組写真の時代;写真集という物語);3 読む倫理のために(写真と異文化表象;写真は世界を救うか;ニヒリズムを遠く離れて)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refISBN=4121019466
http://www.amazon.co.jp/dp/4121019466
◇ 『フォト・リテラシー−報道写真と読む倫理』今橋映子(中公新書) - 文筆家・大竹昭子の書評ブログ
http://booklog.kinokuniya.co.jp/ohtake/archives/2008/06/post_23.html
◇ 写真は,報道/アートの向こうに - kamane
http://d.hatena.ne.jp/kamane/20080709#p1
◇ 「フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理」 - No Hedge!
http://d.hatena.ne.jp/klov/20080625/1214391450
◇ フォト・リテラシー - 新書野郎
http://ameblo.jp/bisneto/entry-10105788390.html
◇ フォト・リテラシーと、国語力検定 - 国語力検定
http://www.zkaiblog.com/kokugoryoku/archive/470
◇ フォト・リテラシーの必要性 - シロクマ日報
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2008/06/post-2d07.html
-
-
- -
-
はじめに──写真史を書くということ、写真史の歴史
1 写真史はどのように語られてきたのか
2 「技術史としての写真史」から「表現の歴史としての写真史」へ
3 「表現の歴史としての写真史」≒「写真家の列伝」?
4 「表現の歴史としての写真史」に対する見直しと近年の傾向
5 本書の目的と構成──写真を読むためのツールとしての写真史第1章 写真史のなかの子どもたち
1 子どもの写真を撮ること、見ること
2 写真の黎明期──ダゲレオタイプの発明からカルト・ド・ヴィジットの流行まで
3 見立てられる子どもたち/測られる子どもたち
4 社会を象徴する子どもたち──ドキュメンタリー写真、フォトジャーナリズム
5 子どもとして「見る」ということ第2章 写真による「性」の表現
1 密室の中の演技──ポルノグラフィの手法
2 ダゲレオタイプのヌード写真、ステレオ写真の流行──視覚的なポルノグラフィの展開
3 カルト・ド・ヴィジットとポストカードの流行──ピンナップ、ガーリー・マガジンの普及
4 アルフレッド・C・キンゼイの研究活動とキンゼイ研究所の写真アーカイヴ第3章 広告写真とジェンダー表現
1 「フォレスト」に見られるジェンダー表現
2 印刷技術の進歩と広告写真の成立
3 エドワード・スタイケンの仕事──虚構(ルビ:ファンタジー)をつくりあげる広告写真
4 第二次世界大戦後の展開第4章 戦争と写真──プロパガンダとしての写真の用法
1 「崩れ落ちる兵士」と戦争写真家ロバート・キャパの名声
2 第一次世界大戦期の戦争ポスター
3 フォトジャーナリズムの展開
4 ストーリーとして読み取られる展示──写真展「勝利への道」第5章 紙面上の写真──写真集を読む視点
1 モニター上の写真 / 紙面上の写真
2 写真集の構成とその見方
3 ポートフォリオとしての写真集
4 見開き・裁ち落とし──空間やストーリーの展開第6章 美術館と写真──写真を蒐集する視点
1 写真コレクターとしてのエルトン・ジョン、「もの」としての写真の価値
2 写真の美術市場の形成
3 ジョン・シャーカフスキーが提示した「写真の見方」第7章 写真と現代美術──インスタレーション・アートにおける写真の位置づけ
1 フレッド・ウィルソンのインスタレーション作品「H RR R and H PE」
2 現代美術における写真の位置づけ──ポップアートからランドアートまで
3 ポストモダニズムの写真活動の展開
4 インスタレーション・アートの展開
5 表す展示/隠す展示あとがき
http://www.seikyusha.co.jp/books/ISBN978-4-7872-7200-3.html
http://www.amazon.co.jp/dp/4787272004
オススメです。写真にあまり詳しくなくても、興味深く読み進めることができると思います。
□ 『写真との対話』(国書刊行会)
写真をめぐる言葉と、言葉をめぐる写真。これからの写真について考える人のための20の手がかり。インタビュー&論文・エッセイ。
第1部 写真に語りかける(畠山直哉インタビュー「世界のはじっこにあるものにむかって」;写真―小さな大全(スーザン・ソンタグ);鼎談「そして写真はつづく」(田中純・野崎歓・畠山直哉);「写真論」、平坦世界を破るための戦い―スーザン・ソンタグ『写真論』ノート(管啓次郎);歴史の現像―ベンヤミンにおける写真のメタモルフォーゼ;温室を満たす光―ロラン・バルトと写真による回心(野崎歓);空間の痛み、写真、風―ヴィレム・フルッサーと第三のカタストロフィ(ノルヴァウ・バイテーロ・Jr.));
第2部 まなざしのフィールド(港千尋インタビュー「ブラジルが写真を教えてくれた」;ウォーカー・エヴァンズのアメリカを読む(アンドレイ・コドレスク);写真と絵画に挟まれた物の光(近藤耕人);パンテオン広場17番地「偉人ホテル」―シュルレアリスムと写真についての覚書(星埜守之);監視の現在+ウォーカー・エヴァンズの「超越」(倉石信乃);フレーム・モビールと映画の時代―反映するスクリーンについての省察(ダドリー・アンドルー));
第3部 心のなかのフレーム(本質を汲み出す泉(堀江敏幸);「もしデカルトが写真を見たなら…」―不完全な、でも忘れることもできない、ある着想をめぐる半デカルト的省察(キュー・リー);見えない写真―心のなかのフレーム(塚本昌則);コレット・ペニョの表情(マイケル・リチャードソン);サミュエル・ベケットと見えざるもの(井上善幸);フアン・ルルフォの廃墟の中で(旦敬介))
http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?nips_cd=9979266430
http://www.amazon.co.jp/dp/4336046565
写真についてある程度の知識を要求しますが、こちらもオススメです。