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福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

安部公房の原点、香川に/長女が情報収集 - 四国新聞社

 戦後日本を代表する作家安部公房(1924―93年)のルーツが香川県にあったことが初めて明らかになった。その著作を網羅する「安部公房全集」(全29巻、新潮社)の補遺に盛り込む年譜の制作に向けて、公房の長女で医師の安部ねりさん(54)=東京都在住=が調査を進めているが、不明な点が多く、県内からの情報を求めている。

 公房は生前、自ら何度か県内を訪れ、ルーツを調査したことが分かっている。四国新聞の調べでは、高松市前田西町には、勝三郎の実家のものと思われる墓が残っている。国分寺町には安部姓の世帯がいくつかあるが、近親関係は分かっていない。

 これまで公房については東京生まれの満州育ちで、父親の出身地、北海道旭川市がゆかりの地とされていた。今回の調査で安部家と香川との深いかかわりが明らかになった。ねりさんは「公房の視覚的な表現は、芝居の盛んだった四国にルーツがあるのでは」と言う。

 公房は「死ぬまでに三つ仕事がある。その一つがアメリカ論。内容は、四国について書くつもり」と編集者に話していた。「長年その意味が分からなかったが、今回の調査で、アメリカのクレオール的(混ざりあって新しく再生する)文化と四国、安部家の開拓史に共通するエネルギーに気付いた」とねりさんは指摘する。

http://news.shikoku-np.co.jp/kagawa/locality/200809/20080921000060.htm


安部公房全集(全29巻/別巻1) - 新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/zenshu/abe_kobo/
安部公房文学の全貌を編年体で収める決定版全集。