Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

「言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズン」

◇ 言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズンってどういう意味か、誰か解説し... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1014635405
栗原裕一郎さんの↓はてなダイアリー経由。


◇ 1月14日(水)それにしても晴れ - おまえにハートブレイク☆オーバードライブ

モヤシ炒めをつくってビールを飲みながらネットをチラホラ。津田大介氏のツイッターを見てたら、「ネット弁慶とプライドのないメディアばかりが幅をきかせるこんな世の中じゃ」というフレーズに出くわす。

ポイズン、と脳内でオートコンプリートされてしまうわけだが、元ネタの「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ ポイズン」(「ポイズン」作詞:反町隆史)はそのインパクトからテンプレ化しているものの、このフレーズ自体はクリシェとは言い難い。破壊力はむしろ、「言いたいことも言えない」というこちらは定型化された反抗の枕詞的言辞に、「ポイズン=毒」という脈絡を欠いた言葉が接続されることでクリシェがズラされたがゆえの、ある種の異化効果に依っているといえるだろう。お気に入りのフレーズで類比するなら、BOOWYジャスティ」(作詞:氷室京介)の「危険な恋のサンライズ」にちかい。

常人が思いつかないという意味では果てしなく創造的なフレーズであるわけだけれど、こういったクリエイティビティはけっして「文学的」とは評価されない。だからこそ大衆性を獲得しているわけだからそれはまあべつにどうでもいいんだが(そういうことをさも重大そうに語るのは陣野俊史あたりがやっていればいいことだし)、一人称語り文学の「読ませる/読めたもんじゃない」問題(勝手に問題にするが)とはたぶん無縁ではないだろう。

http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/20090114/1232304150