自動車業界や家電業界が、ほぼ最良の状態から最大の経済不況に陥ったのに比べて、出版業界は最悪の状況の中で最大の危機を迎えたことになる。
自動車業界や家電業界の経済不況はサブプライムローン崩壊に端を発している。出版業界もまたサブプライムローンと見なしていい問題を抱えながら、何の改革もなされず、10年以上を過ごしてきた。そこに最大の経済危機が押し寄せているのである。
出版業界のサブプライムローン的問題とは再販委託制下での書店の過剰出店、出版社の過剰生産、取次の自動配本システムの限界を示す雑誌・書籍のかつてない高返品率であり、今年はこれらの崩壊と社会経済の危機が一挙に襲ってくるだろう。
直視に耐えない事態も生ずるかもしれないが、出版敗戦の現実を冷静に記し続けるつもりだ。
[ 再販委託制下にある日本の出版業界は経済不況の追い撃ちも受け、09年は限界業界としての姿を、あからさまに次々とさらしていくことになるだろう。大手出版社や大手書店の首脳たちは筑摩書房の菊池明郎に続いて、真剣に発言するべきだ。本クロニクル9でも記したが、出版業界全体が本当に後のない状況に追いこまれているのだ ]