研究機関や行政が動いて「借景」を保護する取り組みをしているのは、ひとえに「そこが借景である」ことが人口に膾炙しているからに他ならない。事実、上記リンク先をいろいろ辿れば、マンションや宅地が建ってしまったり造成されてしまったりしている借景の事例が沢山あるようだし。「借景であること」が鑑賞者に自明である事態は「借景」としては不名誉かも知れないが、いまや「借景である」のが人口に膾炙していることは、借景が借景として存続する上での必須条件といえる。
思うに、音楽にせよ、映画にせよ、演劇にせよ、絵画その他にせよ、その作品が音楽/映画/演劇/絵画etcの「作品」として成立するには、必ず、音楽/映画/演劇/絵画etc以外の「何かから・何かを・何らかの方法で」「借りて」いるはずである。
だが、「このように借りてます」ということを、音楽/映画/演劇/絵画etcの作品「それ自体」には原則的に叙述することができない。「借りてます」という情報は、作品の「外部」にこそ存在しうるからだ。
作品の鑑賞者は、その作品が「借りている」という情報を、事前に、いつかどこかで受容しているからこそ、それを「作品」として認識することができる。そして鑑賞者が「借りている」という事実を「事前にいつかどこかで受容した」ことは、鑑賞にあたっては「なかったこと」にされている。
http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20090330/p1
>>>天皇陵の近代「超越性」のランドスケープ 〜みささぎの森での「めまいズーム」効果、借景式整備、近代の陵墓美観政策について - 十三乙女漂流記 蠅の女王
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080725#p2
>>>「Mot The Radio:ゲスト 田中功起 第3回」より
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080227#p6
>>>田中功起、言葉にする
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081128#p2
>>>美術犬シンポジウム「美術」を見に行って… - 奥村雄樹のブログ Yuki Okumura Blog
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090401#p3
◇ 27A: 美術系ラジオ第4回「アートフェアって?」 - 建築系ラジオ-2部
美術系ラジオ
聴く:美術系ラジオ第4回「アートフェアって?」
(MP3形式、16.9MB、24分39秒)