Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

量子コンピューティングが考える未来の計算技術とは(上)(下) - WIRED VISION

アムステルダム発――政治家や識者は口を揃えて言う、情報こそがニュー・エコノミーの天然資源だ、と。

だがちょっと待て。ここで言う「情報」とは、どんな種類のものを指すのだろう? それはほんとうに、あたかも「神」のように物理的世界に拘束されない実体、「0」と「1」という抽象概念なのだろうか?

このプラトン的幻想を吹き払おうという試みは、今から20年前にノーベル賞学者のリチャード・ファインマン博士によって始められた。今週アムステルダムで世界中の情報研究者を集めて開催されている『第4回量子情報処理会議』は、そのファインマン博士の遺志を継ぐものだ。

ここに集まった科学者と数学者は、「20世紀の奇跡」と言える量子力学を関わらせることで、暗号コンピューティングから暗号、さらに情報そのものの本質に至るまで、あらゆるものに変化をもたらすいくつもの方法を探求している。

http://wiredvision.jp/archives/200101/2001011504.html

ベネット氏は、こう語る。「多次元空間的に物事を考えたがらない人に、私はこう言って説明する。古典的な情報の考え方は、例えば本に書かれた情報のようなものだが、量子的情報とは夢の中の情報に似ている」

「自分が見た夢について誰かに聞かれたとしても、プライバシーに関わる内容も含まれるので、その部分は作り話に置き換える。そのうち実際の夢の内容を忘れ、自分で作った説明だけを思い出すようになる。これと同じで、ある内容を公開したり多くの複製を作ったりする過程で、そのオリジナルの内容が変えられてしまい、思いもかけない方向に進んでしまう場合がある」

「もちろん、夢の内容はひどく不正確だ。だが、夢のようにつじつまの合わない情報でも処理できるきちんとした数学はある――そしてその存在は、1920年代にすでに知られていた。ところが……当時はそれが、情報の中心概念に関係するものだとは思われていなかったのだ。しかし、ここ数年の間にわれわれは知見を得て、情報の中心概念の中にそれを含むべきだと考えるようになった。われわれは今ちょうど、そこから派生しうるすべてのものを見つけていこうと取りかかったところだ」

http://wiredvision.jp/archives/200101/2001011607.html