Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070821#p5)+α

■現代美術のシナゴーグ
JW

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美術手帖 1995年 2月号: タデウシュ・カントル/ベル=シミオン・ファイナルほか: 道草書房 - 【古本・古書(販売/買取)】本を愛する人の総合サイト・スーパー源氏
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美術手帖Vol.5 古雑誌&古本Re-Make/Re-Model
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※コンテンポさんという方のコメント(2008/08/03 10:26)へのリプライ
n-291 2008/08/05 04:12

>1画廊の絵画を中心とした極一部のアートにしかスポットライトがあたらない点
確かにアメリカやヨーロッパに比べるとまだまだだということは否めないとは思いますが、アートフェア東京、101TOKYO Contemporary Art Fair、ART@AGNES、ART OSAKAなどをみてもわかるように、「1画廊の絵画を中心とした極一部のアートに」というふうな状況ではないのが実情でしょう。主要メディアにおいて「極一部のアート」だけが報じられがちなのだとしたら、それは報じる側のアートについてのリテラシーの乏しさとリサーチ不足が主たる要因ではないでしょうか。
作品の画像や解説もなく、ただただ数字だけが華々しく踊ってばかりの新聞報道などは、いたずらに実情からかけ離れた思い込みや誤解などを誘発するだけだと思います。いまだに一般には、オークションでの落札価格が作家の収入になると思われていたりもするようですし。
メディアがポピュリズムに依拠したアートの取り上げ方しかできず、それがバンドワゴン現象やウイナー・テイクス・オールといった状況につながってしまうのだとしたら、それはとても残念なことです。不健全な状態だとも言えるでしょう。小山さんが著書の中で何度も主張されていることとは逆の事態になってしまいます。過渡期にはそうした危うさが伴うのかもしれませんが、寡占と一元化ではなく、共存と多様化の方向へと発展していくことを、私は望んでいます。
コンテンポさまのおっしゃる「バイヤー」という言葉は、投機筋のブローカーことなのでしょうか? それとも、コレクターと解釈すれば良いのでしょうか? ギャラリーお墨付きのバイヤーという存在がよくわかりません。小山さんの著書にも「バイヤー」という言葉は見あたりません。「コレクター」という言葉は使われていますが。それに、そもそもギャラリーは買い手に「お墨付き」を与えたりなどしないのではないでしょうか。基本的にギャラリーは作品を求める人々を分け隔てしないでしょう。たとえば、もし小山さんが作品の買い手を分け隔てする場合があるとしたら、それは投機目的で作品を買い漁りにきているのが明らかな場合です。そうした相手の場合は「売らないこともある」という話です。
コンテンポさまが利害当事者(バイヤー)なのだとしたら、番組で使われていたJW氏(日本のアート業界にとって天使と悪魔の両面を持っている存在 [だと噂される] )のコメントに納得がいかなかったということも何となくわかるような気はしますが。
コンテンポさまのおっしゃる「作品に惚れてアーティストから買う」人が「増えてこないと」というのは、小山さんが著書で主張していることと同じ(あるいはパラフレーズ)ですね。私個人の実感にすぎませんが、コレクターの方々といろいろとお話する機会もあって感じたのは、本物のバイヤーならぬ、本物のコレクターが少しずつ増えてきているのではないかということです。
WTIの比喩(?)は飛躍しすぎではないでしょうか。銀座のホテルの一室で密談……の昔ならいざ知らず、国境を越えてグローバルな市場に開かれている現在の状況を考えると、価格決定のプロセスは透明かつ適正でしょうし。また、価格決定のキャステイング・ボートを握っているのは、アメリ東海岸の富裕層や有力コレクターの動向ではないでしょうか。
あと、たとえそれが比喩であったとしても、WTI先物のような商品先物取引と、美術作品の先物買いとは、まったくの別物でしょう。前者と違って後者は現物取引です。
「迷惑市場」という言葉もよくわかりません。価格の上昇(下降)によって一方(たとえば売り手側)が大きく利益を得る状況下において、他方(たとえば買い手側)にとってそれが「迷惑」だと観測されるだけであって、さして意味のある言葉ではありません。どちら側に立っているかというだけの話であって、健全/不健全とは関係ありません。

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080801#c1217877153