Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

2008-11-01 ●ベルリンDJ (Berlin Calling/2008/Hannes Stöhr)(ハンネス・シュテーア) - 粉川哲夫の「シネマノート」

◆カルクブレンナーが(映画初出演にしてはけっこううまく)演じるイカルスというDJがドラッグにはまり、病院に入るが、そこでは別の意味での「薬づけ」にされることに気づき、両方のドラッグから脱出し、音楽を「ドラッグ」に生きるようになるというのだが、そんな簡単にドラッグ(両方の)から脱出できれば、話は簡単だ。
◆父親(ウド・クロシュヴァルト)は教会の牧師であり、パイプオルガンも弾く。弟(ペーター・クロシュヴァルト)と父の家を訪ねたとき、イカルスは、父がすすめる2杯目のワインを断る。これは、ドラッグ常用者がアルコールを控えるパターン的反応。クラブのトイレでエルブセという売人(ロルフ・ペーター・カール)からMDMAを買い、錯乱とディプレスの状態になり、街をさまよい、ベルリンの壁の名残(もうほとんど残っていないから、ベルリンに詳しい人間なら、そこがどこかを特定できるだろう)がある場所でぶっ倒れる。ホテルにもどり、テーブルの上にヨーグルトをなでつけながら口に入れるというシーンがある。これも、ドラッグに中毒すると、甘いものがやたら食べたくなるというパターンを描いていて、新鮮味がない。

◆この映画は、CDを出せば爆発的に売れるスーパースター的なDJという設定の人物を主人公にしている。特に金に困るわけではなく、入院もできる。しかし、アーティストとドラッグという問題をあつかう場合、このイカルスとは対極の位置にいるアーティストはベルリンにもいくらでもいるし、まさに、クラブのトイレの床に座り込んでいたようなジャンキーで、全く明日の望みもない連中がいる。この映画には、そういうレベルへの視座はあまり感じられない。だから、イカロスの姿が、いい気なものにも見えてくるのを禁じえないのだ。

http://cinema.translocal.jp/2008-11.html#2008-11-01


◇ 「ドラッグになんて頼らず音楽の力だけで支えられている日本のクラブカルチャー」ってほんと? - 想像力はベッドルームと路上から
http://d.hatena.ne.jp/inumash/20090812/p1


>>>Paul Kalkbrenner - Berlin, DE - MySpace.com

◇ BERLIN CALLING - THE OFFICIAL TRAILER
http://jp.youtube.com/watch?v=drdf8OeBUUM
☆さんの日記(mixi)より。


◇ Berlin Calling: New film starring Ableton Live!
http://jp.youtube.com/watch?v=MWE7gBSvlDw
邦題はなんと『ベルリンDJ』とのこと。。。

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081014#p2


>>>Gebrünn Gebrünn

◇ Paul Kalkbrenner - Gebrunn Gebrunn, on Fairtilizer
http://fairtilizer.com/track/11348

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081014#p6