Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

吉本隆明+坂本龍一『音楽機械論  ─ELECTRONIC DIONYSOS』(ちくま学芸文庫)

思想界・音楽界の巨人たちによるスリリングな文化談義。時代の転換点を捉えた記念碑的対談。文庫版特別インタビューを収録。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480092274/
http://www.amazon.co.jp/dp/4480092277
http://www.bk1.jp/product/03141012
25年前の対談が文庫入り。
文庫版特別インタビューとなっていますが、
収録されているのは坂本龍一さんと小沼純一さんの対談のようです。


◇ 『音楽機械論』 吉本隆明坂本龍一共著 トレヴィル - 休日のダンゴムシ

しかし、本書の最大の魅力は、今となっては対談よりも、むしろ対談と同時進行で行われている、坂本教授を講師にした吉本氏の「打ち込み音楽体験」の方でして、当時実際に坂本教授がレコーディングで使用していた「DX7」や「フェアライト」などの機材を使って、吉本氏が打ち込み音楽に挑戦しているわけですな。
本書の中で、坂本教授が吉本氏に懇切丁寧に打ち込み音楽のやり方を説明してくれているお陰で、「今も昔も高級機」・・・というよりも、個人ではとても購入できる金額ではなかったフェアライトの具体的な操作内容が示されていたり、坂本教授の打ち込み方法がわかったりと、電子楽器や打ち込み音楽を愛好している人にとっては、ある意味貴重な資料になっているといえましょう。
当時、坂本教授は、ダンサーであるモリサ・フェンレイのダンス・パフォーマンスのための音楽であり、サンプリング・ミュージックの名作として名高いアルバム『エスペラント』を発表した直後でした。
以前ご紹介した細野氏のアルバム『フィルハーモニー』同様、「サンプリング」や「デジタル」というテクノロジーによる新たな音楽創造の可能性が、先進的なミュージシャンの胸の中に「期待」として込められていた時代でもあったというわけです。
ちなみに本書は、本来ならば、この時に吉本氏が坂本教授に手伝ってもらいながら作った曲の「ソノシート」(懐かしい!!)が封入されているのですが、私が購入したものは、見事にソノシートだけ剥がされていました(だから安かったのだけど)。

http://dangomushi.blog.so-net.ne.jp/2007-11-04

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大森荘蔵 坂本龍一『音を視る、時を聴く[哲学講義]』(ちくま学芸文庫
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480090546/
http://www.amazon.co.jp/dp/4480090541


>>>22〜23年前のニューアカ鼎談集(http://www.amazon.co.jp/dp/4061843591
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080504#p3