Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060825#p2)

■『東京ノート』 - 2・2・2
脇田 フェルメールの絵って、みんな人が窓のほうを向いてるんですよ。
木下 うん。
脇田 で、どの本読んでも、そのことをいろんな学者とかが解説してるんですけど、それってバカみたいですよね。
木下 ★あぁ、あれか、見た見た。
脇田 覚えてます。
木下 うん、なんとなく。さっき、そっちの方に並んでたやつでしょう。
脇田 あれ、だって、そりゃ誰だって、窓のほうに向いてるとこ描きたいですよねぇ。
木下 え?
脇田 窓に背を向けてるとこなんて、描いてもしょうがないでしょう。
木下 あぁ、そうか。
脇田 見る方だってつまんないですよ、そんなの。寂しくて。
木下 うん。
脇田 部屋の中に飾る絵なんだから。
木下 うん、あぁ、まぁ、そうかね。
脇田 えぇ・・・
木下 ・・・


★……前の台詞の語尾に重ねて言う。


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 小津安二郎監督は「東京物語」が芸術祭で入賞したのを受けて、だいたい次のような
ことを述べています。
 「あの作品を見て泣いたりすることは計算に入れていなかった。(見た人が)親孝行しなけ
ればと感じてくれたなら、作者としては満足ではないかと思っていた」
 私はそのような演劇が作りたいと思います。ただ「親孝行」がテーマではありませんが…。
(一九九四年『東京ノート』宣伝用チラシより 平田オリザ


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以上、『平田オリザ戯曲集1 東京ノート・S高原から』から引用。
生業ほうが煮詰まってしまったので、
コーヒーを飲みながら、久々にぱらぱらめくってみました。
写真を始めた今となっては、「どうだろう?」と思う部分もありますが、
平田オリザさんの認識・判断・提示にまつわる話は、いろいろと考えるきっかけになります。
余談ですが、平田オリザさんは、この戯曲をサラエヴォで上演したいと願っていたそうです。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4891882484
http://www.seinendan.org/jpn/seinendan/obj/obj2.html
http://www.seinendan.org/jpn/sell/sell01.html


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http://www.seinendan.org/