Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

あの宮下公園を清掃しようと試みた「アーティスト」「アクティヴィスト」は居たんでしょうか?

◇ ▼【追悼】アーティスト・イン・メモリアルパーク - イルコモンズのふた。

「原っぱが、子供たちにとって、日常的な絶好の遊び場だったことは、とても意義深いことだ。子供たちは、本能的に、原っぱを好んだ。それは、野球をしに行く場所ではなかった。ドッヂボールをしに行く場所でもなかった。なにかの目的をもって行く場所ではなく、ともかくそこへ行って、それからなにをして遊ぶかを決められる特別な場所だった。原っぱは、そのままで楽しいのではない。そこでは、毎日のように新しい遊び方が開発されていた。風邪をひいて、二、三日行けなかったりすると、もうみんなが遊んでいるルールがわからなくなってしまった。子供たちは、いくらでも、原っぱを使った新しい遊びをそこから引き出すことができた。原っぱの楽しみは、その場所での遊び方を発明する楽しみであり、そこで今日何が起きることになるのかが、あらかじめわからないことの楽しみだった。それが、人問の空問に対するかかわり方の自由ということの意味だ。

この自由は、別の意味で同じくらい楽しかった「遊園地」と対極にある。遊園地は演出されている。どういう楽しさを子供が得られるか、それが最初に決められ、そこから逆算してつくられている。それもまたとても楽しいことに違いないけれど、そこにはかかわり方の白由がきわめて少ない。ジェットコースターには、ジェットコースターとしての遊び方以外が許されていない。(...) 一見、自由に思えても、その自由は見えない濫のなかの自由だ。

ちょっと雑な気がするけれど、建築は、「遊園地」と「原っぱ」の二種類のジャンルに分類できるのではないか、と思う。あらかじめそこで行われることがわかっている建築(「遊園地」)と、そこで行われることでその中身がつくられていく建築(「原っぱ」)の二種類である。(...) ぼくがこの分類(あるいは極)にもう少しこだわりたいのは、現在において、「原っぱ」が失われつつあるからだ。」(青木淳)


ナイキ社がつくろうとしているのは、「遊園地」のような公園です。
もうこれ以上、「遊園地」のような公園は、いらないのです。
わたしたちは、渋谷のまちにのこった、最後の「原っぱ」としての
宮下公園をまもりたいのです。ナイキ社はそれを葬ろうとしています。
この映像にはすでに葬られ、忘れら去られてきた「原っぱ」たちが、
亡霊のように映りこんでいます。わたしたちがまもりたいのは
「原っぱ」なのです。「そこで今日何が起きることになるのかが
あらかじめわからないことの楽しみ」をまもるために。
檻の中にとじこめることのできない自由をまもるために。
その楽しみと自由を、こどもたちや多くの人たちと共有するために。

http://illcomm.exblog.jp/10936107/
以上、小田マサノリさんのブログより。


ナイキ公園化が計画されている宮下公園は、
ちょくちょく状況を見に行ってました(し、今もたまにチェックしてはいます)が、
あの大量にゴミが放置された状態(その多くはフェンスに囲われてはいますが)が
解消されることはありませんでした。それが残念です。


いまだに、「その楽しみと自由を、こどもたちや多くの人たちと共有」できるような
目指すべき状態の、その準備段階にさえ達していないように思います。


実際に現地を訪ねてみるとよくわかりますが、
あいかわらず一般の人々には近寄りがたい、非常にハードルの高い空間になってしまっています。
(ただし、春になって旺盛に生い茂ってきた緑によって、
冬なんかに比べると、その目に見えないハードルは若干下がっているようには思います。)


たとえば、宮下公園を通過する人々の平均滞在時間を計測してみると、どういう結果が出るでしょうか?
明治通りを挟んで東側に位置する、東京都児童会館脇の美竹公園(みたけこうえん)と
人の流れを比較してみるのもいいかもしれません。


美竹公園は、オルガン坂から宮益坂上へと延びる坂道を少し登った場所にあるので、
明治通りにも隣接していず、アクセスは必ずしも良いとはいえません。
しかし、かりに東京都児童会館目当ての親子連れをカウントしなかったとしても、
年齢、職業、性別などの異なるさまざまな人々で賑わっています。


それに比べると、宮下公園は、
路上生活者の方々が日向ぼっこしたり、うたたねしたりしている、その同じ空間で、
お昼休みのOLやサラリーマン、学生たちが、お弁当を食べたり、休憩したりしている。
そして夕方にもなれば、学校帰りの子供たちが何をするでもなく自然と遊び集っている。
……といったような「原っぱ」みたいな場所には、到底なりそうにありません。


この様子だと、一般の人々を味方につけて、
宮下公園での活動を支持するような層を拡大していくことは難しいのではないでしょうか。
渋谷区役所近辺でのビラまきにしても、ビラの受け取り率はかんばしくないのでは?


というふうなこともあって、
昨今の宮下公園のことを考えるたびに、
そこでアートがらみの「何か」をやるのだとすれば、
たとえば、美術家の岩井優さんを招いて
公園を「原っぱ」として復興させるための
「清掃プロジェクト」を実行に移すのが面白いかもしれない。
と、いうことを以前から考えていました。


などと書くと、お前がやれよと言われてしまって終了。
と、いう感もありますが。。。
ま、とりあえず、時間ができたら、
デンマークの首都コペンハーゲン
クリスチャニア(クリスティアニア[Christiania])が
どのようにして成立し、どのようにサステイナブルな状態を維持してきたのか?
といったことを調べてみようと思います。


◇ ▼CNN「宮下公園レポート」と「予示的政治」 - イルコモンズのふた。
http://illcomm.exblog.jp/11117645/
http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=201005/15/81/d0017381_20594263.jpg

      • -


◎ MemoRandom
http://masaruiwai.exblog.jp/


◇ 洗剤や生ごみを用いた「掃除」の展覧会、『岩井優 展 "CLEAN UP 1.2.3."』 - CINRA.NET
http://www.cinra.net/news/2009/01/25/203420.php


◇ 岩井優 パーククリーニング─もし晴れたら、公園で─[小金井アートフル・ジャック!プログラム] - artscapeレビュー/プレビュー|美術館・アート情報 artscape
http://artscape.jp/report/review/1213080_1735.html
レビュアーは福住廉さん。


◎ :: Survivart.net(サバイバート) ::
http://survivart.net/


>>>[ Double Cast ] by Survivart
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070322#p5

      • -


>>>Joachim Koester "Day for Night, Christiania"
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081103#p5


>>>ユートピアとは - ユートピア研究
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081103#p4