Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

金村修×尾仲浩二「辛口アニキ対談――ワカモノを斬る」(2002年11月23日 進行:富田秋子)より

富田――最近の若い写真やってる人たちについて、まず……。
金村――展示、けっこう考えてますよね。現代美術の影響なんでしょうね。展示凝るっていうのは。写真家がやる場合は成功してる例はあまりないけど。
富田――若い人の話を聞いてるとランドスケープ流行りで。
金村――ドイツ系の写真ですね。
尾仲――白壁で展示するのに映えそうな写真を撮りたがる傾向がありますよね。ホワイトキューブっていうんですか、美術館の空間や、ギャラリーの白い壁できれいに展示したいっていう。
金村――その割に見てると絵画的に成立する写真を撮るんですよね。ほんとはインスタレーション考えるんだったら一点で絵画的に成立するような写真ってのは外すべきなんだけど。割と写真写真してる写真をばっと出すから、ほんとだったら一列に額装したほうがいいんじゃないっていう。
尾仲――そのへんは鈴木清さんがすごかったね。
金村――めちゃくちゃなことやってたから。
尾仲――あれを見ちゃうとあとはみんな小ぎれいにやってるようにしか見えないよね。
金村――あれはすごいと思った。で、あの人の場合、一点で見せてもすごいのに、そういう写真を下に置いてあったりとか。
尾仲――層にして重ねちゃってね。触っていいし。あれはちゃんと設計図があったわけでしょ。緻密な。
金村――鈴木先生の搬入の手伝いをよくやったんだけど、最初設計図通りやるんですよ。でもどっからか狂ってくるんですよね。で気がつくとなんかぐじゃぐじゃになってるっていう。模型を作ってるんですけどよね、きれいだなーと思って見てるんだけど。できあがるとこう……あら? みたいな。
尾仲――現場主義なんだね。
金村――だって毎日変えてたから。
尾仲――それでもやっぱり展示する前には模型を作るの?
金村――やっぱりスタンダードなことをちゃんとやってから崩してくみたいなことがあったのかも知れない。
尾仲――写真展って始まるまでがすごく楽しいんで。ハガキやらなにやら、どういうものにしていくかって考えてね。始まっちゃうともう別にいいやっていうようなとこがある。それこそ毎日とりかえていったりしなければ。
金村――毎日1枚ずつ減らしていくとかね。最終日ないとかね。

『phtographers' gallery press no.2』(2003年4月発行)所収


◇ pg press no.2 - photographers' gallery

■特別企画
「辛口アニキ対談―ワカモノを斬る」
金村 修×尾仲浩二
 ――写真家、金村修氏とpgメンバーの尾仲浩二による対談。学生時代の話や写真をはじめたきっかけ、写真を続けていくということについて、今のワカモノへ向けられた軽快辛口トーク

http://www.pg-web.net/shop/detail/press02/index.html


◎ 金村 修 ワークショップ
http://ok-ws.hp.infoseek.co.jp/


◎ ONAKA KOJI Web - 尾仲浩二 公式ホームページ
http://www.onakakoji.com/


>>>鈴木清さんの『流れの歌』復刻&回顧展もうすぐ
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20100908#p2


※過去の鈴木清さん関連
http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=%CE%EB%CC%DA%C0%B6%20%BC%CC%BF%BF