声がかかったらできるだけのるようにしている。ペヨトル・ファイナルを取材してくれたNHK・BS『真夜中の王国』の放送の中で、畠山直哉は、インタビューにそう答えている。ペヨトルファイナルへの出演も二つ返事で引き受けてくれた。でもそれは友情だけだからではない。これまでの仕事の中で、ボクは、常に彼に対してディレクションをしてきたからだ。自由に任せてくれ、それが自分への評価だと作家も多いが、畠山はそうではない。何でこの仕事を一緒にやろうと考えたのか。そして何をボクが畠山に望んでいるか、それをはっきりと示さなければならない。畠山との仕事はそこから始まる。畠山はそのディレクションについて考えて自分の意見を言う。そして話し合って発見をしながら作業をする。とても楽しい。
畠山直哉は考える写真家である。最終的には畠山の自由にしてくれて良いのだが、それではつまらない。今回も来て、居てくれるだけでもうれしいのだが、やはりきちんとオーダーを出した。ファイナル・イベントの記録の写真を撮って欲しいし、記録用のビデオのディレクターも頼みたいし、できればカメラ・オブスキュラで西部講堂を記録して欲しいと頼んだ。電話の向こうで畠山直哉は笑っていた。どれか一つだね。全部はできないよ。どれも興味があるけどね。
ボクはしばし考えてから、カメラ・オブスキュラと答えた。
畠山直哉は暗箱を抱えて京大西部講堂に来てくれた。会場の中のことで一杯一杯だったボクはほんの一瞬、外に出て挨拶に行っただけだ。どんな作業をしていたのか分からなかった。NHKの放送に写っている畠山直哉の顔はとても精悍で優しかった。彼は徹底して写真を科学したり、仕事を論理的に把握したりすることを好む。だから一緒に仕事をするときはディレクションがあって討議が必要なのだ。
作品を見れば分かるが、しかし畠山は理で撮っている写真の中にどうしようもなくロマンティックな感情を込めているものがある。畠山には、どこかで意気に感じてしまうところがあって、実は、何も考えずに西部講堂の参加を決めてくれたのかもしれない。
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◇ 参加アーチスト紹介 - Peyotl Final Event
| abe"M"ARIA | 浅野つかさ Asano Tsukasa | 笠井叡 Kasai Akira | 蔡國強 Quai Guo Qian | 田中泯 Tanaka Min | 丹野賢一 Tanno Ken-ichi |
| 野村誠 Nomura Makoto | 畠山直哉 Hatakeyama Naoya | 藤本由起夫 Fujimoto Yukio | 森村泰昌 Morimura Yasumasa |
畠山直哉(写真家)
畠山直哉さんに最初に会ったのは、彼が筑波の大学院を出たばかりの頃です。作品を見せてもらいました。すぐその後にヨーゼフ・ボイスのドキュメントビデオの映像ディレクターとして畠山さんは、ボイスの来日すべてに立ち会いましたが、そのプロジェクトにペヨトル工房も参加して、結果、『ヨーゼフ・ボイス・イン・ジャパン』というドキュメントビデオブックがペヨトル工房から出ることになりました。
そして畠山さんは、『夜想』や『WAVE』や『ur』の複写の仕事までやっていただき、さらに三上晴子、内藤礼、北斗晶をはじめとするアーチストや作品写真も撮り起こしてくれました。かんらん舎の大谷コレクションの鉱物写真で『Lazur―透きとおる石』という写真集もペヨトル工房から出版しました。
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◇ Peyotl Final Event
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◎ 2minus ____ Studio Parabolica
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◎ 夜想 yaso & parabolica-bis
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