木村友紀による美術館での初めての個展。とても充実していて面白かった。IZU PHOTO MUSEUMは写真美術館であるのだが、木村友紀は現代美術畑の人なので、写真というものに対する捉え方が写真家とは異なっているように思える。いわゆる写真展とは違って今回の展示では壁にプリントを掛けているものはほとんどなく、写真が展示室に置かれたテーブルの天板と化していたりイスの上に置かれていたりする。以前観た展示では写真のパネルが壁に無造作にも見える形で立て掛けられていることもあったことからも分かるように、木村友紀の展示では写真は空中に漠然と浮いている物質性を欠いたイメージとして存在するのではなく、写真のモノとしての側面が強調される。そして木村自身もインタビューで述べているように、写真に対して植物や石などのモノが直接接触していることによっても写真の物質性はあらわにされている。