Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

新加被歌的路(シンガポール・ソングラインズ)☆一──ポチョムキン・メトロポリスのポートレート あるいは 三〇年のタブラ・ラサ | レム・コールハース+太田佳代子 訳+八束はじめ 訳 ‹ Issue No.50 -『10+1』 DATABASE | テンプラスワン・データベース

風水:もとの場所に居つづける限り地主の繁栄はつづくという古い中国信仰。
シンガポールのグリーンプラン:われわれはブルドーザを適正な場所に導きたい。
リー・クァンユー:シンガポールは多様で変化に富むものすごく大きな世界のなかのちっぽけな場所だから、機敏でなかったり、調整がすみやかにできなければ、消えるしかないだろうし、人々もそれを心得ている。
『ストレート・タイムズ紙』一九九〇年五月二七日

私はシンガポール港で八歳になった。上陸はしなかったけれども、臭いは覚えている。甘美さと腐臭、どっちも強烈だった。
去年再訪した時には臭いは消えていた。実際シンガポールは消え、掘り返され、建て直されていたのだった。完全に新しい街がそこにあった。

シンガポールにあるものほとんどすべてが、三〇年と経っていない。この都市は、三〇年にわたるイデオロギーの生産をそのまま形にしたものであり、残存するコンテクストによって汚染されていない。偶発と偶然を排除した体制によって舵とりされ、自然さえも完全につくり替えられている。それは意図以外の何者でもない。カオスがあったとしてもアンカーされたカオスだ。醜悪だとしてもデザインされた醜悪さだ。不条理だとしても意志にもとづく不条理だ。シンガポールは現代性の生態系という特殊な状況を示しているのである。

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