Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ゴンチャロフをめぐって - heuristic ways

 講談社学術文庫から『ゴンチャーロフ 日本渡航記』という本が出ているのは知っていたが、迂闊にも、このゴンチャーロフがあの『オブローモフ』の作者のゴンチャロフと同一人物だということにはこれまで気づかなかった(私はどちらも未読)。*1


 渡辺京二『なぜいま人類史か』(洋泉社新書y、2011年、原著1986年)の中に、「外国人から見た幕末維新」という章があり、その中でゴンチャロフの『日本渡航記』のことがわりと詳しく載っている。ちなみに、この本は渡辺氏の最初の講演集で、一九八〇年代に福岡や熊本で定期的に行なっていた公開講義を基にしたものらしい。そして「外国人から見た幕末維新」は、後の『逝きし世の面影』(1998年)の原型となるようなアイデアを述べた講演録と言っていい。


 Wikipediaによると、イワン・アレクサンドロヴィチ・ゴンチャロフ(1812−1891)の経歴は以下の通り。同時代人としては、ゴーゴリ(1809−1852)やドストエフスキー(1821−1881)、カール・マルクス(1818−1883)、日本では佐久間象山(1811−1864)や川路聖謨(かわじとしあきら、1801−1868)を挙げることができるだろう(川路聖謨は長崎に来航したロシア使節プチャーチンと交渉し、ゴンチャロフとも会っている)。

http://d.hatena.ne.jp/matsuiism/20110830/p1