Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20130627#p4)

■武蔵野美術大学 映像学科: Hot dog under a pillow (2011) / justin kemp - 1 Shot Essay

“Adding to the Internet”
Hot dog under a pillow (2011) / justin kemp


http://justinkemp.com/Adding-to-the-Internet


「ショット」を、持続する時空間から一部を取り出す行為だとして、いま「ショット」にどんな意味があるだろうか?GoogleマップGoogleストリートビューには、ありとあらゆる場所が写真として収められているし、flickrには1日平均142万枚(2012年時点)の写真がアップロードされている。youtubeには毎分100時間以上(2013年5月時点)の動画がアップされ、これまでアップされた動画の総再生時間は人間の一生よりも遥かに長い。人間のタイムスケールや知覚を超えた量のイメージが記録され、ネット上に存在しているこの時代に、いま私(たち)はどんな「ショット」を作品として切り取るべきなのだろうか。
ジャスティン・ケンプの“Adding to the Internet”は、極めてシンプルな手法でこの膨大なイメージの中に、未だ誰も見たことのない「ショット」を生み出す。google画像検索で検索結果が0件になる、意味不明な言葉(例えば“hot dog under a pillow” / “枕の下にあるホットドッグ”)を探し、その言葉通りのオブジェを制作、撮影してwebサイトにアップロードする作品だ。まさに、今までインターネット上に存在しなかった「ショット」をインターネットに追加する作品だ。
ただ、もっとシンプルでいいのかもしれない。いまこの瞬間にも私(たち)が見たり、聞いたり感じていることは、決して誰にも共有されないし、「いいね!」や、リブログもリツイートもされることのない、唯一の、オリジナルなもののはずだ。というか、共有できないから唯一でオリジナルなのかどうかすら分からない。さて、どうしたものか。(振り出しに戻る)


映像学科 非常勤講師
谷口 暁彦
担当:メディアアート演習(2年)、メディアアートI・II(3年)

http://eizou-musabi.tumblr.com/post/53716947298/hot-dog-under-a-pillow-2011-justin-kemp