香川県の直島・宮ノ浦地区にある宮浦ギャラリー六区で、カメラの原型で語源ともなった装置「カメラ・オブスクラ」の原理を応用した作品展「The Scenes―宮本隆司×オラファー・エリアソン」(福武財団主催)が開かれている。2人のアーティストが、直島の何げない風景を個性的な手法で表現しており、訪れた人々は想像を巡らせながらゆったりと鑑賞している。6月22日まで。
吸い込まれそうな藍色の海と空。三方向の壁に掲げられた十字型のパネル(縦3・04メートル、横3・18メートル)には、直島の海辺の景色が写る。それぞれ異なる場所で撮影され、上下左右が逆さまになっている。
写真家宮本隆司さんの作品「ピンホール直島」は琴弾地、積浦、向島から見た直島本島の3カ所を写したパネル3枚で構成。いずれも宮本さんが2006年、特製のピンホールカメラを用いて撮影したものだ。展示方法にもこだわり、ギャラリー空間そのものを一つのカメラ・オブスクラに見立てて配置したという。
デンマーク生まれの芸術家オラファー・エリアソンさんの作品は「カメラオブスクラのカレイドスコープ」。壁に向かって真っすぐ伸びる直方体の作品(土台含め高さ2メートル、幅0・92メートル、奥行4・23メートル)の内側には鏡、先端にはレンズが取り付けられており、のぞくとギャラリー横の公園の様子が万華鏡のように反射して見える。
来場者はソファに腰掛けてパネルを見比べたり、カレイドスコープをのぞいたりして直島の風景を堪能している。
宮浦ギャラリー六区は、パチンコ店だった店舗を改築し、瀬戸内国際芸術祭2013夏会期が始まる昨年7月20日にオープンした。主に写真や映像の展示を想定しており、現在が芸術祭閉幕後初の作品展。同ギャラリー担当者は「常設型ではなく企画展を入れ替わり開催する動きのある施設なので、何度訪れても楽しめるはず」とPRする。
24日には宮本さんを講師に迎えたワークショップを開く。同ギャラリーを見学した後、西部公民館でピンホールカメラを製作。屋外で思い思いの風景や物を撮影し、現像までを体験できる。
小学4年生以上が対象で先着15人。無料。午後1時〜6時(同0時半から受け付け)。希望者は16日までに福武財団(087―892―2550)に申し込む。
同財団は「スマートフォンやデジタルカメラでの撮影とは違う『写真』の世界に触れてほしい」と参加を呼び掛けている。
(2014/5/8 13:50)