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福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

Amazon.co.jp: 都市の類型学: マックス・ウェーバー, 世良 晃志郎: 本

理念型を駆使したウェーバーの典型的な社会学
投稿者 古本屋A 投稿日 2014/8/28
ウェーバーは「支配の社会学」の一部として都市の類型学を展開する。都市ゲマインデは或る程度の自立性を持った法制度行政が存在する西欧特有のもので、見た目は集住があり、或る程度の恒常的な市場がありるといった都市特有の性格を持つアジアや日本に見られる都市らしきものも、西欧の都市とは異なるとして、ウェーバーの「西欧のみ」の特性を追及する一つの研究になっている。この論文を含む大著『経済と社会』は遺稿であって、どうもまとまりは良くないうらみはあるが、総論、思想性を急がずに、個々の事象の説明を確認する楽しみがある。総じて、西欧社会以外の都市に就いての説明は、情報に対して慎重であるすぎ、どうも歯切れが悪く、とくに日本の都市に関する、日本の支配構造に関する言及が出てきても、すぐに話が変わってしまい残念。一方、古代ギリシア、とくにホメーロスの世界の、ウェーバー独自の考察は、たいへん私には興味深く、有史以前の神話的世界の社会構造が、得心できる形で整理されていた。ウェーバーの博学さと慎重さだけでなく、直観力や支店の向け方など柔軟な思考を垣間見ることができて面白かった。日本でも都市社会学というのがあって、一時盛んだったが、ウェーバー流のものではなくシカゴ学派風のもので、現在では行政技術の消化され、それはそれで良いのだと思う。一方、西欧では、西欧社会のエッセンスが都市にあり、都市と都市のつながりが「社会」を形成するが、ゲマインデとして登場しなかった日本の都市は、支配者の、上からの行政リードによるものだから、もとより、本書の方式を模倣することはできないし、その意味もない。その辺に日本と西欧の違いがうかがわれ、ウェーバーの記述に就いて、西欧滞在の経験があれば、見聞の点からも得心できるところは多い。

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◇ M・ウェーバーの「都市の類型学」 方法論的分析 - 文献詳細 - Ceek.jp Altmetrics

著者
大内 田鶴子
出版者
日本社会学
雑誌
社会学評論
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.20-34, 1982 (Released:2009-10-19)


今日まで「都市の類型学」をM・ウェーバーの科学方法論と結びつけて解釈する試みは殆んどなされていない。しかし、ウェーバーがG.フオン・ベローに宛てた手紙と、「古代農業事情」の末尾に付けられた注の内容とに注意してみると、「都市の類型学」は因果帰属の問題と関連をもつように思われる。特に後者は都市比較論についての覚書であり、その方法的手続は論文「文化科学の論理の領域における批判的研究」で展開されている客観的可能性判断と適合的因果帰属の思考図式に対応している。このためウェーバーが都市の歴史的具体的研究を行いながら並行して、客観的可能性判断と適合的因果帰属の方法論的実験と試行錯誤を繰り広げていたことが考えられる。「都市の類型学」の錯綜した構成はその結果であろう。このような観点から「都市の類型学」を方法論的に精査し合せてウェーバーの論理学的な主張を再検討すると次のような諸問題が明らかになる。第一に、「都市の類型学」はウェーバー歴史学的接近法から独自の社会学的接近法への方法論的転換期に位置づけられる。第二に、右の位置づけの論理的基礎づけをそれが与えるのであるが、客観的可能性判断と適合的因果帰属の思考図式は、「理論」と「歴史」との関係を明らかにし、社会学の理論の性格を理解する上での示唆を与えている。

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◇ マックス ・ ヴェーバー都市論の再検討
http://kiyou.lib.agu.ac.jp/pdf/kiyou_02F/02__21F/02__21_336.pdf


◇ 共異体=共移体としての都市 | 若林幹夫 ‹ Issue No.11 ‹ 『10+1』 DATABASE | テンプラスワン・データベース
http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/864/