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「眼と耳のために」展 | 現代美術用語辞典ver.2.0

「眼と耳のために」展
Für Augen und Ohren
1980年にベルリン芸術アカデミーで開催された、ヨーロッパで初めて音楽と造形芸術の関係というテーマを包括的に取り上げた展覧会。キュレーションはN・ヘルトリングと、現在出版社兼ギャラリー「Edition Block」のオーナーR・ブロック。サティ、L・ルッソロマン・レイらの作品をはじめとして、音楽と造形芸術の間に位置し、両者の関係を再考させる20世紀の作品が大規模に集められた。展覧会の副題「音楽機械から聴覚環境へ オブジェ、インスタレーション、パフォーマンス」や、カタログに収められた作家/スタイル・チャートからも伺えるように、西洋音楽の伝統とテクノロジーの発展の結びつきを展示作品の源流とみなしたことも本展の特色である。こうしたパースペクティヴはいかにもヨーロッパ的歴史観と言えよう。展示は「音響オブジェと聴覚環境」と題された173点の作品からなるパートのほかにも、「機械楽器」パート(笛時計、オーケストリオン、自動ピアノ、蓄音機など)、「電子楽器」パート(ネオ・ベヒシュタイン・フリューゲル、トラウトニウム、クロワ・ソノールなど)が設けられ、さらにパフォーマンスも多数上演された。出展作家は20-30年代生まれが中心で、フルクサス周辺の作家の多さが目立つ。カタログには、機械楽器や電子楽器の歴史、未来派の音楽、E.A.T.の「九つの夕べ──演劇とエンジニアリング」(1966)などを論じた五つの論考が収録され、展示のパースペクティヴを補強している。同年、パリ市立近代美術館ではブロックを共同キュレーターに迎え、本展覧会と同様のテーマと作品を扱った「眼で聴く」展が開催された。
著者: 金子智太郎

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