Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ドキュメンタリーをみる #001|ワン・ビン『鉄西区』(その4)@ TAP Gallery

清澄白河のTAP Galleryでは、今年の4月から夜間にさまざまなイベント、レクチャー等を企画・開催中です。そのひとつとして、ドキュメンタリー映画の上映会とトークを通して映像・写真の表現について考えるイベント「ドキュメンタリーをみる」を月に1〜2回程度のペースで開催いたします。
その第一弾として、ワン・ビン鉄西区』(DVD版 556分)を全5回に分けて上映します。ワン・ビンのドキュメンタリー・スタイルは、彼がかつて写真を専攻していたこともあり、写真作品におけるドキュメンタリー表現を再考し、その今後の可能性を開いていくうえでも、さまざまな示唆を与えてくれるでしょう。また、写真作家が将来的に映像(ムービー)に取り組むうえでも、ぜひ一度は見ておきたい作品です。上映後に行われる参加者相互のディスカッションが盛り上がることを期待しています。
※その4では、第2部「街」の後半1/3と第3部「鉄路」の前半部分を上映したします。


[日時]2015年7月10日(金)19:30〜22:00 ※2時間程度上映後フリートーク
[ゲスト]かつしかけいた(漫画家・イラストレーター)、山下隆博(写真家)、西澤諭志(写真家)
[会場]TAP Gallery http://tapgallery.jp/ 〒135-0022 東京都江東区三好3-2-8
[地図]http://tapgallery.jp/map.html
[参加費]無料 or 投げ銭(※エデュケーション目的の上映会&トークイベントですので金額は自由。もちろん無料でも構いません。ゲストの往復電車賃程度の金額が集まるのが理想です)
[定員]10名(予約制)
[予約方法]参加をご希望される方は、メールの件名を「ワン・ビン鉄西区』(その4)」とし、お名前/メールアドレス/ご予約人数を明記したメールを fknb291@gmail.com までお送りください。返信の空メールが届いたらご予約完了となります。担当:福居伸宏(TAP Gallery運営メンバー・291 workshop主宰)


[プログラム]
ワン・ビン鉄西区

Tie Xi Qu: West of Tracks
铁西区


第1部:工場 240分
第2部:街  175分
第3部:鉄路 130分


中国/2003/中国語/カラー/ビデオ/545分


監督、撮影、編集:王兵ワン・ビン
録音:韓冰(ハン・ビン)、陳晨(チェン・チェン)
製作:珠珠(ズゥ・ズゥ)
提供:王兵ワン・ビン
Wang Bing

日本占領中に設立され、後に人口の多い工業地域に変貌していった中国東北部瀋陽にある鉄西区。現在は廃れゆくこの地域を「工場」「街」「鉄路」という三部構成の中に描き出した9時間におよぶ超長編ドキュメンタリー。廃虚となっていく工場や街、変化を余儀なくされる人々、刻々と過ぎゆく時の流れ。対象となる地域を限定し長い時間をかけて記録することにより中国社会が抱える現実をも浮き彫りにした稀有なドキュメンタリー。

王兵ワン・ビン
1967年、陝西省生まれ。1992年、瀋陽にある魯迅美術学院で写真を専攻。1995年、北京電影学院映像学科入学。1998年、インディペンデントの映像作家兼監督の仕事をスタート。1999年、インディペンデントの長編劇映画『偏差』で撮影を担当。その後、初のドキュメンタリー『鉄西区』を製作。2001年末に撮影が終了した本作の300分ヴァージョンが、2002年ベルリン映画祭「インターナショナル・フォーラム」部門に選ばれ、リスボンの国際ドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞。また本バージョンは2003年のマルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞した他、多くの国際映画祭に出品している。

http://www.yidff.jp/2003/cat015/03c030.html
YIDFF: 刊行物: YIDFF 2003 公式カタログより

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◇ 【Info】5/11より/伝説の傑作が甦る!『三姉妹〜雲南の子』公開記念 ワン・ビン監督作『鉄西区』『鳳鳴―中国の記憶』ニューマスター版公開! | neoneo web

鉄西区(全三部)1999 – 2003|中国語

山形国際ドキュメンタリー映画祭2003大賞/2002リスボン国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ/2003マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ/2003ナント三大陸映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ

日本占領中の満州に設立され、のちに20世紀中国の重要な重工業地帯となった瀋陽鉄西区。しかし開放経済の波にのれず、歴史ある工業地帯は廃れ、労働者たちは仕事も住まいも失っていく。ひとつの時代の衰退という叙事詩を、小さなデジタルカメラで撮影し、3年以上の月日をかけて全三部作で完成させた記念碑的作品。本作は各部ごとに完結しています。一部のみでも順番でなくても鑑賞できますのでご自由にご覧ください。“各々のパートは単独で見ることができ、自立した意味を持っていますが、他の2つのパートを見ることで補完されるかもしれません”(ワン・ビン監督)


工場 鉄西区:第一部 240分

衰退する鉄西区の3つの工場を記録する。事故や鉛中毒の危険をも受け入れて働いてきたが、いまや閉鎖が近い工場で暇をもてあまし、休憩室で煙草をふかし、トランプをし、バカ話をする労働者たちの姿や、工場の民営化に頭を悩ます管理陣らが描かれる。雪に覆われた鉄路を走る汽車が工場内へ入っていく導入部から圧倒的な素晴らしさである。


街 鉄西区:第二部 175分

鉄西区の労働者住宅に住む十代の若者たちを中心に立ち退きを迫られる艶粉街の人々を描く。周囲の大人が暮らしの不安に暗い毎日を送る中、仕事にあぶれてだらだらと過ごしていても、若者たちは各々に青春を生きる。やがて一帯の住宅を取り壊すと当局が発表し……。ジャ・ジャンクー監督が初期に描いた“青春の停滞”を彷彿させる現実である。


鉄路 鉄西区:第三部 130分

鉄西区の工場を結び、かつて貨物の運搬に多忙を極めながら、今では大きな役目を終えた鉄路。暇をもてあます鉄道員から、やがて線路付近の石炭や鉄くず拾いで生計をたてている父と息子が物語の中心となる。ある日、父親は石炭泥棒として警察に捕らえられ、いつも無表情だった息子が突如として……。見ている側も動揺するほどに感動的な瞬間の記録である。


★コメント
鉄西区』の出現はデジタルカメラを使った世界初の思想表現ともいえる大事件なのだ。
――佐藤真(ドキュメンタリー映画作家)


今、あなたたちは深淵に触れる。またとない機会を手にしている。
さぁ、王兵の『鉄西区』を見に行くのだ!
Run,Run. Run,急げ、走れ、駆けつけろ!
――ペドロ・コスタ(映画監督)

http://webneo.org/archives/13267
※ドキュメンタリーマガジン『neoneo』のウェブサイト「neoneo web | ネオネオウェブ」http://webneo.org より
※※TAP Galleryでのイベント「ドキュメンタリーをみる #001|ワン・ビン鉄西区』」では、DVD版を上映し、ディスカッションを行います。