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福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

第23回早稲田文学新人賞選考委員に就任しました - 東浩紀の渦状言論

東浩紀といえば、この数年、『ゲーム的リアリズム』の書評は出ないわ、『キャラクターズ』は賞の対象にならないわ、某誌も某誌も「今度うちの賞が変わるときには、東さん選考委員に入ってよ」と飲み屋では言うくせに実際にはまじスルーだわ、そのくせ田中和生・ザ・群像新人賞選考委員氏には「だれも東さんを排除してませんよ、あんたの被害妄想でしょ」とか冷笑される、文芸評論家としてはもうみごとなまでに負け組というか、屈辱感あふれる悲惨な境遇の書き手だったわけですが、ここでようやく一発逆転への第一歩というか、まあとにもかくにも、自分の好きな作品をちゃんと「文学」として、すなわち、自分たちだけが文学を代表していると思っている能天気な方々も制度的に無視できないかたちで推薦できる環境を手に入れたわけです。文芸業界はどうせ思想地図もゼロアカもすべて無視でしょうが、早稲田文学だけは無視できないw。だって早稲田文学といえば、あの川上未映子の出身雑誌で、前回の新人賞選考委員は中原昌也ですからね! 


というわけで、ぼくはすでに文学賞という制度をハッキングする気まんまんなわけですが、そんなぼくの意図を100%知っているにもかかわらず、口先だけの賛意でなく、制度的にぼくを起用してくれた市川真人編集長に、この場を借りて最大限の敬意を表したいと思います。いや、ほんと、口先だけ頷く編集者とか記者とか、ぼくはもうウンザリなのです……。


早稲田文学新人賞の選考委員の任期は、原則1年です。1年に限って延長もありうるようですが、今回が最後の機会かもしれませんので、ぼくに小説を読んでほしい、というか、ぼくの能力を信頼し、ぼくとともに、「純文学」「文芸誌」と呼ばれる領域に革命を起こしたいと思っているかたは、ぜひこの機会に文章を読ませてください。


繰り返しますが、今回は選考委員はぼくひとりです。ぼくはその環境を最大限に活かし、変なバランス感覚とか立ち位置とかをいっさい考慮せず、自分の趣味と直感だけに基づいて新人賞を選ぶつもりです。だから別に、文学賞をハッキングするとかいって、ラノベケータイ小説っぽいものを忍び込ませようと思っているわけでもありません。そんな立ち位置ゲームをやっても意味はありません。むしろ、今回ぼくが行うべきは、ぼくのすべての読書経験に照らして、これならもっとも自分を裏切らないで済む、そういう一点を見つけることだと思います。それがもっとも「文学」に対して誠実な態度、というか、おそらくはいまもっともぼくに期待されている誠実さであり、また、ぼくを信頼してくれた編集長に対する最大の恩返しにもなると思うからです。したがって、受賞作は、阿部和重みたいな小説かもしれないし、清涼院流水みたいな小説かもしれないし、新井素子みたいな小説かもしれません。ぼくにもよくわかりません。

http://www.hirokiazuma.com/archives/000428.html
東浩紀さんのハッキングと革命に期待。


>>>前田塁さん=市川真人さんという説は……
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080312#p3


>>>「とくに日本におけるフランス文学研究や紹介って、
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060405#p8


>>>「進行中の批評 A LETTER FROM N43°」鎌田哲哉(抜粋)
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20060325#p5