Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

北京オリンピック開会式のビジュアル・ディレクターを務めていたツァイ・グオチャン氏の話題(CG問題)

北京五輪開会式:蔡國強の花火のCG問題を推論する――真偽を越えて - I Get Around The Media 楠見清のメディア回游

日本でのネット上での反応としては「北京オリンピック開会式の花火による『巨人の足跡』は本当にCGだったのかどうかを検証してみた」といった検証記事も上げられており、世の中の関心はだまされた感よりも、へえ、あれがCGだったなんて!ウソー!ホントー?という驚嘆に帰着しつつあるようだ。

ただ、ちょっと考えてみれば、そもそも「実はCGでした」という事後報道が中国側から配信されたものだとしたら、それはむしろ中国のCG技術を世界中にプロモーションするという最終目的として企図されていたものだったのではないか、と裏読みしたくなる。

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ここからは僕の私見を交えた上でのさらなる裏読みだが、今回のオリンピックの開会式はもともとスティーヴン・スピルバーグがアーティスティック・アドバイザー(芸術顧問)を務めるはずだったのが、2007年4月中国政府のダルフール紛争への対応の不備を非難してスピルバーグがボイコット辞退したことで、その後任を急きょ張芸謀チャン・イーモウ)が務めることとなったものだ。――と、ここまでは日本のマスメディアでも報道されているが、問題の花火が現代美術家の蔡國強(ツァイ・グオチャン)によるものだということまでは僕の見たところ報道されていない。これは日本の記者の勉強不足と言うよりは、おそらくは北京五輪機構がプレスに流す情報において重きを置かれていないのではないかと想像される(開会式の生中継のアナウンサー用のシナリオはあらかじめ各国のTV局に提供されているはずなのに花火の作者の名がアナウンスされなかったのは、おそらくそこに蔡國強の名前は入っていなかったのだろう)。

http://d.hatena.ne.jp/donburaco/20080813/p1


北京オリンピック開会式の基礎技術をチラッとのぞいてみました - Gizmodo Japan(ギズモード・ジャパン), ガジェット情報満載ブログ

・花火は北京30か所で同時に打ち上げられるように、デジタル点火制御システムが使用されました。Cai Guoqiangによると、花火界のマエストロが手がけたので、4万本すべて完璧に打ち上げられたそうです。

http://www.gizmodo.jp/2008/08/post_4157.html


◇ An Explosive Opening -- Beijing Review
http://www.bjreview.com.cn/quotes/txt/2008-08/11/content_140334.htm
本人のコメントが掲載されていますが、
CG問題についてはまったく言及されていません。


◇ Olympics Opening Ceremony Fireworks 'Faked' on TV | Gadget Lab from Wired.com
http://blog.wired.com/gadgets/2008/08/olympics-openin.html
Telegraph紙の報道「Beijing Olympic 2008 opening ceremony giant firework footprints 'faked'」に対するブロガーのレスポンス。


◇ Footprints of History: Fireworks Project for the Opening Ceremony of the 2008 Beijing Olympic Games - Cai Guo-Qiang
http://www.caiguoqiang.com/project_detail.php?id=234&iid=0
http://www.caiguoqiang.com/
ウェブサイトには、さっそく作品画像が掲載されています。

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◇ オリンピックは全部CGにしろ - たけくまメモ

しかし、俺もあの開会式を見ていて、まさかあの足跡型の花火がCGだとは夢にも思わず、後でCG合成だったと聞かされて久しぶりに「CGスゲー」と単純に思ってしまいました。もうCGもここまで発達すると、不可能な映像なんてないですね。どうせなら試合も全部CGにしたらどうかと思いました。

俺が希望するのは、石原慎太郎さん率いる東京がまた性懲りもなくオリンピック候補地に名乗りを上げているではないですか。そこで今から押井守監督をオリンピックの総合芸術監督に据えて、万が一東京に決まったら、メインスタジアムを東京湾に浮かぶ超巨大な多層建造物にしたらどうかと思うわけです(通称“方舟”)。

開会式はもうド派手ですよ。ナレーションが竹中直人川井憲次作曲のファンファーレに会わせてヘッドギアを付けた数百人の聖火ランナーが天使の翼の形をしたパラシュートで雲を突き抜けて舞い降りると、そこに数百機のレシプロ機がわらわらと飛来して機関銃(祝砲)をガシガシ撃ちまくる。一方、方舟の船底ではおっさんが大塚明夫の声で犬にエサをやっている。もちろん、全部CGです。

それで開催地の選考に落ちたら落ちたで、オールCGで虚構の東京オリンピックを製作して開催したことにすればいいんですよ。あの押井監督なら、よろこんで引き受ける気がするんですが、ダメですかねえ。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_c5e6.html
竹熊健太郎さんのレスポンス。


◇ デジタルゲッベルス - オンライン日記

 北京五輪中継はマスメディアの時代の最後の華のように見えてくる。新聞が号外を濫発するのも自分たちの存在価値を示そうという焦りからではないのか。次々に中国政府関与による開会式「偽装」演出が発覚しているのもゲッベルス以来の国威形容のためのプロパガンダ的五輪利用法の最終章、完成形態という趣のようだ。マスメディアも国民国家と一蓮托生を超えて、せめてそれについて語れるといいのだけれど。

http://162.teacup.com/sinopy/bbs/895
武田徹さんのレスポンス。