Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

日高優『現代アメリカ写真を読む――デモクラシーの眺望』(青弓社)

▼紹介

事実を伝える透明なメディアとしてデモクラシーの価値と共振/反発してきた写真は、冷戦やヴェトナム戦争によって根底から揺らぎ、別の姿を模索し始めた。1960-70年代の現代アメリカ写真に生成するデモクラシーの可能性とそのイメージを探索する。
▼目次

はじめに

序章 デモクラシーの布置
 1 写真とデモクラシー
 2 アメリカとデモクラシー、その協働関係の核

第1章 公的世論の時代――透明な記録/透明な記憶
 1 匿名の視線――FSAプロジェクトの遺産と負債
 2 視線のポリティクス――「ライフ」にみるフォトジャーナリズムの興隆
 3 物語の力学――「ザ・ファミリー・オブ・マン」展の栄光と凋落

第2章 「社会的風景」の誕生――デモクラシーの身体/身体のデモクラシー
 1 自己の風景――過激にして軽やかなリー・フリードランダーの身体
 2 ストリートというトポス――ゲイリー・ウィノグランドの反応的身体
 3 誰のものでもない風景――ドゥエイン・マイケルスの身体の技法
 4 「写真に撮られると事物がどう見えるのかを見るために写真を撮る」

第3章 「それを家とせよ」――トラウマとデモクラシーのイメージ
 1 ユートピア、あるいはディストピアの風景――ビル・オーエンスのサバービア
 2 ロードの感覚、イメージの出来事――スティーヴン・ショアのアメリ
 3 風景の傷を生きる――ロバート・アダムスの新たなる西部【ザ・ニュー・ウェスト】

終章 錯綜するデモクラシーの眺め――九・一一以降のアメリカと写真
 1 パフォーマティヴなデモクラシーの主体
 2 創発するデモクラシー、その可能性と限界と
 3 デモクラシーの可能性を〈幻視〉する

http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-7269-0
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7872-7269-0.html
発売されたようです。
昨日書店で確認。


◇ 東京支部6月例会のお知らせ - 日本アメリカ文学会ブログ

演劇
<ストレート・フォトグラフィ>の陥穽---アルフレッド・スティーグリッツの写真観を巡って
日高 優(群馬県立女子大学

<ストレート・フォトグラフィ>は、絵画を後追いするピクトリアリズム(絵画主義写真)と決別し、写真独自の美学を追求するものとして誕生した。ピクトリアリズムを含めて芸術の領域では写真のメカニカルな性質は否定的に捉えられていたが、ストレート・フォトグラフィはむしろそれを前景化させることで「新しい芸術」を標榜したのである。アルフレッド・スティーグリッツは、ピクトリアリストとして出発しながらもそこから離脱し、ストレート・フォトグラフィ誕生に関わった最も中心的な写真家であり、批評家サダキチ・ハートマンらとともにストレート・フォトグラフィを擁護し推し進めていった。多くの場合、ストレート・フォトグラフィで問題にされるのは、それがいかに新しい芸術として写真を認知させる際に有効な概念だったか、である。しかしながら本発表ではむしろ、スティーグリッツの写真観を中心にストレート・フォトグラフィの思考に孕まれていた矛盾を探り、その矛盾に急激に近代化へと向かう時代の強度をみるとともに、この矛盾がもたらしたもの――写真の世界で新たに可能になったものばかりでなく、写真の世界を限界づけたもの――を評定することを目指す。この作業は、ストレート・フォトグラフィの系譜がスティーグリッツからF/64グループへと至りひとつの極として結晶化すると記述する、スタンダードな写真史を問い直す契機となるものである。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/alsj/blog/archives/2006_6_13_113.html
なぜか、区分が「演劇」になってます。