Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

『スタジオボイス』休刊 関連

STUDIO VOICE休刊について、twitter風につぶやいてみる。 - POP2*5(ポップにーてんご)

 先の30年を「雑誌ブームの時代」と定義するならば、我々が思春期に読んで育ったような雑誌環境の再来はすでに望めない時代になったが、実売収入で存続してきた『暮らしの手帖』のような雑誌は、広告が入らないからと早々戦線離脱する競合誌をよそに、逆に売り上げを伸ばしている。「サブカル誌の終焉」っていわれてもさ、『クイックジャパン』が伝家の宝刀であるドラえもんやテレビネタをやって北尾色を払拭したり、『ユリイカ』が初音ミク坂本龍一をテーマにしたヴィヴィッドな増刊号を次々出して、いずれも増刷されるヒットとなっているような新局面もあるわけで。『STUDIO VOICE』の終焉は、インファスのあからさまな広告主導スタイルに原因があって、それに対する抵抗もあったのか、編集側が歩み寄っての広告とのシナジーを果たせず、むしろ旧態依然とした誌面作りを強行に続けていたというのが休刊の理由でしょ。広告が入らなかったのが決断の直接の理由にせよ、他のサブカル誌のサバイバルぶりに比べればあまりに温室育ちすぎて、時代に順応できない誌面作りが、結局ネット世代の読者に訴求できなかったって部分もあるのかもしれないけど。

 もっと言えば、『STUDIO VOICE』や『流行通信』がなぜ、出演者にギャラや原稿料を払わずにやってこれたかとか(有名な逸話)、そもそもペヨトル工房のようなサブカル系出版社がアルバイト代無報酬なのになぜ人材に事欠かなかったかとか、分析するのにもっとたくさんの、語らなければいけない雑誌文化を成り立たせていた背景がある。「Twitter風に」と書き出したつもりだったが、そんな文量ではとても伝えきれないよ。つか、そんな短文文化で世の中のことがわかったつもりでいる人々に、どうやってそれを伝えればいいんだろうね。

 そういう意味で、Twitterユーザーに対してディスコミニュケーションを感じる今日この頃。政治家や新聞社がTwitterを取り入れ始めたってことの反応も、脳天気で自己肯定的。主婦が台所から政治を変えるみたいな、あまりのミーハーぶりで鼻白む。なんかビッグネーム好きだよね、結局。どこまでこの陳腐さが続くんだろう。「ブログもまともに続けられなかった人々」が、新しいツールを手に入れられたところで、それで頭が賢くなるわけでもないだろうに。目のくらむようなリプレイの応酬に酔っているのは本人だけ。つか、「誰がアナタの近況報告なんか喜ぶと思ってるの?」ってことを肝に銘じて、それをスタート地点にしなけりゃ、こういうツールを使いこなすのは至難の業だよ(※)。「つながりを感じるツール」なんてものを、付和雷同な日本人がケーハクに使い始めるなんて、グロテスクな結末しか見えやしない。そういうことに無自覚なままでやってりゃ、いくら海の向こうで情報革命を起こしたツールであっても、いずれ村八分的なダークサイドが露呈してコミュニティが終焉を迎える、そんな気がする。

 そういう情報消費者の鑑が、歴史ある雑誌を廃刊させた遠因の片棒を担いでいるということに、もっと自覚的になってみてはどうでしょ。おそまつでした。

http://d.hatena.ne.jp/snakefinger/20090703/p1


◇ WebDICE連載の「マンガ漂流者」ですが…… / STUDIO VOICEニ我想フ - 日日〆日キ

スタジオボイスといえば、「原稿料が出ない」という話をたしかによく聞き、かつてそういう時期もあったようですが、私は最近書くようになった人なので一度も、未払いも遅延もなく、請求書の雛形まで送ってもらったり(笑)するくらいで、困ったことはなかったです。感謝しています。

はてさて、サブカルチャーを担う「雑誌」は何処へ行くのでしょうか。「ユリイカ」は早くから転換して、成功例とされているようですが、はたしてどうなのでしょうか。もともと広告収入に頼ってないからというのもあるけど、「ユリイカ」は「現在の文化を何処よりも早く、誌面にまとめる」ということに明示的な雑誌です。編集長が代わり、取り扱うテーマが変化していようが、昔から「ユリイカがこんなの取り上げちゃ終わりだよね……」と70年代のインタビューにもあるくらい、ユリイカ!と発見するのが責務の雑誌なので、姿勢が変わったわけではない気はします。ただ、ネットとかからライターを引っ張ってくるというのをかなり早い時期からやっていたので、誌面を読んでも古びた印象はない。常に新しい風を入れている。これをやってたかやってないかは雑誌延命には必要だったり。

http://d.hatena.ne.jp/amiyoshida/20090703


◇ 「STUDIO VOICE」が休刊 ウェブ版は引き続き提供 - はてなブックマークニュース

上記エントリーによると、「広告収入の落ち込みと部数減」のため、8月6日発売の9月号で休刊。最終号の特集は「カメラ特集」になる予定で、ウェブ版の「STUDIO VOICE ONLINE」は継続するとのことです。

http://b.hatena.ne.jp/articles/200907/270


>>>『スタジオボイス』休刊
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090703#p6