Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

仲俣暁生さん(id:solar)のTwitterより

◇ Nakamata Akio (solar1964) on Twitter

活字が「活きている」というのは、バラバラにして組み直せるからで、それが「Movable」の意味。でも日本人は活版を「凸版」の意味で捉えている人のほうが多いと思う。つまり活字の盛り上がりとか凸凹とか。でもそれは活字が起こした革命の本質ではなく、副産物にすぎない。

だから活字は手触りがあっていい、などと言う人間はフェティシストにすぎない。まあ、趣味であればいいけど、そこから活字本質主義みたいのが出てくると気持ち悪い。いまどき活版で本を組む仕事なんて、やらずに済むなら誰だってしたくないはず。労働としてアマゾンのウェアハウス以下でしょうに。

「群像」のオフセット化は文芸誌の完全DTP化を意味するから、出版社は作家の完全原稿PDF刷り出し提供を拒む理由がなくなる。そもそも作家がワープロで売った原稿を活版で組むって、どういう入稿をしていたのか不思議。

とにかく、「純文学は活版、エンタメはオフセット、ケータイ小説は紙に刷らずにテキストファイルで読め!」的な下部構造における差別がなくなるのはとてもよいこと。オフセットであれオンデマンド印刷であれ、その都度、必要に応じたアウトプットをすればいいだけのこと。活版も「必要」があれば残る。

これは重要な指摘。活字は消耗品。植字技術より字母マトリックス)の再生産のほうが危機、ということですね。RT @htoym: @solar1964 活版の必要があったとして…もはや、その技術を継承することが出来なくなっている。活字字母の制作・製作が、絶滅危惧である。

仕事を中断して「群像」を読む。市川真人の記事は印刷工場のルポ。やはり「群像」の印刷は樹脂版による活版輪転機をつかっており、いわゆる「植字」の工程は電算化されている。この記事だけでもすぐに読めばよかった。

いずれにしても、「群像」最終号が「活字」で刷られている、と言っては不正確で、「活版輪転機をつかって凸版で刷られている」というべき。「凸版」じゃ格好がつかないから「活版」といるだけで、「活字」の本質はとっくに電算機の側にあるわけで、版が平版(オフセット)か凸版かはどうでもいいこと。

出版関係で消えた職業→フィニッシャー。昔はよく、求人雑誌に「版下・フィニッシュ」というのがあった。電算写植がなくなって消えた職業のひとつ。

「群像」の松浦寿輝の文章は実に不正確。「技術史における活版からDTPへの移行は、日本語の文章作成術が手書きからワープロへ切り替わった時期とほぼ並行している」。ここでも写植が無視され、「活版→DTP」に。電算写植やワープロは80年代、DTPは90年代以後。ほぼ並行、って適当だな。

ちなみに出版の電算写植時代のことを知りたかったら、中島らもの『永遠も半ばを過ぎて』がお薦め。この小説に出てくる電算写植機のモデルはここに。「写植機探検隊」 http://bit.ly/1tRd5a

シティロード」は毎月の校了の日に、フリーの電算写植のオペレーターを一人スタンバイさせていた。誤植や新しい情報など、写植の文字をバラでどんどん打ってもらい、徹夜で編集部で版下に貼り込む。そのせいで、「下版」というのは編集部に版下が来ることだと、ずっと誤解していた。

@masataka_ishida 手動写植機は70年代からあり、80年代に入って電算化したようですね。「ロッキング・オン」の創刊と写植機の話は有名ですが、あれは72年のことだから、間違いなく手動写植でしょう?>橘川さん

2003年に解散した大日本印刷金属活字鋳造・組版部門の現場写真がここに。http://bit.ly/3QavKf

@metakit モリサワ(森沢)・写研(石井)のケンカ別れの顛末はここに詳しいですね。写真植字は大正年間にもう発明されていたのか。となると、「群像」で松浦寿輝が書いた記事はとことん間違ってるな。 http://bit.ly/40MlLy

「日本の写植機は、(略)外国にも類をみない独特なもので、「写真植字」という概念こそ外国からの借物であれ、具象化された機械そのものは、外国人の知恵に負うところは少しもない。」  http://bit.ly/40MlLy

そんなに仲が悪いのかぁ。モリサワだけをほめた訳じゃないんでしょ?RT @pictex: 昔ワイアードで写研とモリサワの記事を書いたとき、写研を怒らせて出入り禁止になってしまった。モリサワは喜んでくれたのになあ。 RT @metakit: @solar1964

労作ですね。あとでじっくり読みます。RT @pictex: 12年前ワイアードに書いた「モリサワと写研」の著者原稿を、自分のブログにアップしました。 RT @metakit: @solar1964 http://www.pictex.jp/blog/

http://twitter.com/solar1964

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>>>再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20051229#p5 http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070424#p2)+α
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090624#p9