Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090603#p3)

藤村龍至コールハースと設計プロセス 「グーグル的建築家」をめざして」より

 福岡市郊外の開発地に建つ「ネクサス・ワールド レム・コールハース棟」(一九九二)の設計趣旨は一風変わっていた。「設計過程」が短いキャプションとともに説明されていたからである。
[略]
 この思考は、筆者にとって衝撃的であった。当時の建築家の設計趣旨と言えば「意味を失った記号としての建築を打ち立て、都市の虚構性を暴き出す……」といった難しげな文学表現が主流であったからである。設計過程が時系列に沿った事実として淡々と説明されている様は、作家としてのフィクショナリティを完全に捨てているように感じられた。
(P182-183)

 したがって、「¥€$」体制において量とスピードが求められる状況下では、固有性は犠牲にせざるを得ない。建築からコンテクストは剥奪され、強引に「アイコン」に当てはめるか、「箱」を被せるしかない。今日では、「アイコニック・ビルディング」か「ジェネリック・スペース」の二者択一なのである。それがいやなら、グローバリゼーションの舞台=都市から撤退し、工芸品のように美しい建築作品を少量生産するしかない。磯崎新以降の日本人建築家のように。
(P184)

 [略] そのため、コンピューター・アルゴリズムによる設計は、デザイナーが恣意的に設定した関数によって奇抜な形態を生成する一種のフォルマリズムであると見られてしまいがちであるが、本来のコンピューター・アルゴリズムの可能性は、人間の能力を超えた演算によって見えないコンテクストを可視化することにある。 [略]
(P190)

ユリイカ 2009年6月号 特集*レム・コールハース』(青土社)所収
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090527#p4


※過去のレム・コールハース関連
http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=%a5%ec%a5%e0%a1%a6%a5%b3%a1%bc%a5%eb%a5%cf%a1%bc%a5%b9


>>>「クールハース氏の貴重な空間に住んでみませんか?」

◇ 圧巻のクールハース (福岡市東区香椎浜の物件) - 福岡R不動産
http://www.realfukuokaestate.jp/estate.php?n=68
http://www.dmx-j.com/data/realfukuokaestate/Koolhaas.jpg(DMX co.,ltd.)
福岡市東区香椎浜のネクサスワールド・クールハース棟が売りに出されているようです。178.95平米で4900万円。
ブログまでブログ(http://d.hatena.ne.jp/sakakibara1984/20080723#p1)経由。

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080724#p2
現在は3980万円に値下がりしています。


>>>現代建築の怪物「レム・コールハース」の実態とは?五十嵐太郎×藤村龍至 - webDICE - 骰子の眼
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090115#p2