Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

キース・ロウ ミニ・インタビュー

◇ 第24回 1968年「五月革命」以降(2008年9月9日放送分)付録:Keith Rowe Mini Interview - Free Music Archive at Sound Cafe dzumi - JAZZ TOKYO

来店したキース・ロウさんにAMM創設期のことを中心に少しお聞きする。公開してよいとのことなので、この場をお借りして・・・。


Keith Rowe Interview (2008年9月23日@Sound Café dzumi)


●IZUMI:キース・ロウさんは いろいろな芸術/音楽の影響を受けて音楽活動を始められたと思いますが、特に何の影響を受けて活動を開始したのでしょうか?


KEITH ROWE:哲学ではグルジェフ、絵画ではキュビズム(特に分析的キュビズム)の画家たち、音楽ではウディ・ハーマンデューク・エリントンの影響を受けて、音楽を始めました。


●IZUMI:AMMが即興演奏ということから、大きな意味でジャズの範疇としてお考えになっていましたか?あるいは全く別の潮流が生まれていく端緒だったのでしょうか?


KEITH ROWE:ジャズに対する尊敬の気持ちは大きかったのですが、AMMの音楽はジャズとは全く違う別物だと考えていました。当時のロンドンの音楽シーンは、ローリング・ストーンズを模倣したものなどが多く、ロンドンのジャズもそうした模倣が主流だった、というのも ジャズとは違うものをやりたいと思った理由です。そうした当時のロンドン・シーンにあふれていた音楽とは全く違う、自分たちだけの独自の音楽をやりたいというのが、AMMの目的でした。


●IZUMI:当時、たとえばジョン・スティーブンスはS.M.E.(スポンタニアス・ミュージック・アンサンブル)として活動しておりましたが、それに興味/関心がおありでしたか? そしてAMMの皆さんは彼らとはどのくらい距離があったのでしょう?


KEITH ROWE:ジョン・スティーブンスは、音楽をリズムとして捉えていましたが、AMMはむしろ中国や日本の音楽の影響を受けており、リズムよりパルス(波動)を重視した音楽だったので、当時、同じロンドンにいながらも、別のシーンにいました。S.M.E.とはかなり距離があったと思いますよ。


●IZUMI:最後に、二作目の『Crypt』が録音される1968年は「フランスの5月革命」が象徴的なように、反戦や反権力の動きが世界的な潮流でした。そのような動きとこの時のAMMの音楽活動は何らかの影響/共鳴があったのでしょうか?


KEITH ROWE:それは確かにあったと思います。
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短いインタビューは・・・ここから当時AMMに参加していたCornelius Cardewコーネリアス・カーデューや、相方のEddie Prévostエディ・プレヴォーにまでおよんで、いろいろお聞きしたいところだった・・・。
特に早く亡くなったカーデューに関しては、ライナー・ブックレット裏の 貝殻から木が生えているような小さなイラストを指して何やらブツブツ・・・仰っていた(思い出深いことのようだ・・・この絵はカーデューが描いて、プレヴォー手製の泡立て器?)何しろこちらはワインを出し、チーズを用意したりの短時間、その先までお聞きするにはあまりにも時間が足りなかった。
カーデューのその後に興味は尽きない。皆さんも是非 他をあたってください。尚、当番組ディレクター渡邊さんが09年になって登場した驚愕の音源(67年秋プラハ録音)をこのJAZZ TOKYO CDレビュー http://www.jazztokyo.com/newdisc/563/cardew.htmlで紹介しています。
また今回のコメントは、キース・ロウさんの来店インタビューが中心になってしまったが、創設期の中心エディ・プレヴォーさんのお話も加えなければ、バランスを欠くというもの。ここは是非 2004年発行されたプレヴォーさんの著作「Minute Particulars」(Copula)に目を通されることをお願いしておきます。我がCafe´にも在庫あり。そこではインプロヴィゼーションに関して独自の哲学が語られており正規に翻訳/出版を強く望む。(何しろ若かりし頃はコピーライターだったということもあり「筆が立つ」!)ご参考に。

http://www.jazztokyo.com/mb/free_music/v24/v24.html
http://www.jazztokyo.com/mb/free_music/index.html


◎ sound cafe dzumi
http://www.dzumi.jp/