着目すべきは、これらの展覧会の多くが集客にも成功したことだ。ツイッターやブログで口コミ情報が広がるようになり、作品と鑑賞者をつなぐ回路は複数に。鑑賞者の目もこれまで以上に肥えている。
かつて前衛芸術を担った荒川修作と、前衛芸術批評を手がけた針生一郎が鬼籍に入った。美術が一本道に進むものでは無くなった今、前衛という言葉は死語に近い。偶然重なった2人の訃報(ふほう)も、アートが蛸の足のごとく八方に広がる今年を象徴するできごとだった。(西田健作)
■私の3点 選者50音順(敬称略)
北澤憲昭(美術評論家)
▲「MOTアニュアル2010:装飾」(東京都現代美術館)
▲「死なないための葬送 荒川修作初期作品展」(国立国際美術館)
▲「マネとモダン・パリ」(三菱一号館美術館)
▲「あいちトリエンナーレ2010」(愛知芸術文化センターなど)
▲「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」(サントリー美術館)
山下裕二(美術史家)
▲「田中一村 新たなる全貌(ぜんぼう)」(千葉市美術館ほか巡回)
▲「長谷川りん二郎(りんは「さんずい」に「隣」のつくり)展」(平塚市美術館)
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201012250130.html