Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

『リトル・ピープルの時代』と『ゴーストの条件』を読み比べる - ピアノ・ファイア

 8月を挟んで、ごく近い時期に出た二冊の評論書があります。
 前者『リトル・ピープルの時代』(著者は宇野常寛)は社会反映論、後者『ゴーストの条件』(著者は村上裕一)はサブカル評論に寄って書かれた本と言えるでしょうか。
 しかし、どちらも「キャラクター論」に大きく紙幅を割いているという共通点があります。そしてそれは、『ゴーストの条件』においてより顕著です。


 そんな二冊ですが、奇しくも両者の中に、字面の点では共通する術語、しかしその意味するところでは異なる術語が登場していることに気付かされます。


 「もうひとつの現実」という言葉がそうです。


 これは見逃せない「類似」であり「差異」だと思われたので、今回はこのテクニカルタームについて検討を重ねておきたいと思います。

http://d.hatena.ne.jp/izumino/20111001/p2