Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090710#p4)

■『美術手帖』1995年7月号から

 ある流派に属していたことが存在理由になってしまった気の毒な例外もあるが、カテゴライズされると作家は反発を示すのがつねである。私はカラーフィールドとは関係ない、私の作品は“Specific Object”ではない、私はミニマリストではない……などなど。どう分類しようと勝手、私は私だという抗議は、当然のように聞こえるが、見た人が、度合の差こそあれその作家の作品を分類できてしまったという事実の前には無内容である。もっとも作家としての自意識からではなく、単色で塗り潰されてあるから色面絵画、物体が並べてあるからミニマルといった低レヴェルの分類に対する反発は正当であろう。美術史がほどほどに流通している状況において、そうした凡庸さの犠牲になりかねない安易な危うさと、見る側の馬鹿さに作家が責任を取る必要はないという正当性が、一言でいえば類似という謎が、ひとりの作家のなかにさまざまな割合で混合している。

清水穣さんのレビューより抜粋。


◇ 《福永信フェア担当者日記》 - 阪根タイガース
http://d.hatena.ne.jp/m-sakane/20090525/p1
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