Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ヴァルター・ベンヤミン『図説 写真小史』(久保哲司 編訳 ちくま学芸文庫)所収「写真小史」より

そしてトリスタン・ツァラは一九二二年にこう書いている。「芸術と呼ばれていたものが全部痛風にかかってしまっていたとき、写真家が彼の一千燭光のランプに点火し、そして感光紙はいくつかの日用品の黒い影を段階的に吸収した。写真家は繊細で無垢な閃光のもつ射程を発見していた。こうした閃光は私たちの目を楽しませる星座のどれよりも重要なものだった」。風見鶏的な思惑から、あるいは偶然から、あるいは楽だからという理由で造形芸術から写真に転じたのではない写真家たちは、今日同業者のあいだで前衛(ルビ:アヴァンギャルドの位置にいる。なぜそうなっているかというと、そうした写真家たちのこれまでの歩みが、彼らを現代写真の最大の危険から、すなわち美術工芸品めいたものになる傾向から、ある程度守っているからである。

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※原著は1931年。
※※ツァラの文章は1922年。次のリンクを参照。


>>>トリスタン・ツァラの序文(マン・レイのレイヨグラフ集『 Les Champs délicieux』1922年)
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20121205#p8


◇ 『写真小史』ヴァルター・ベンヤミン - 現代美術用語辞典ver.2.0 β版
http://www.artscape.ne.jp/artwords_beta/%E3%80%8E%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%B0%8F%E5%8F%B2%E3%80%8F%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%A4%E3%83%9F%E3%83%B3