Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090801#p18)

■再々録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070108#p3)+1
松本俊夫のことば

 いつだったか本紙で、佐野美津男が、映画批評家がだめなのは商業主義と妥協しているからだと書いていたが、私にいわせれば、妥協するもなにも、彼らにははじめから批評力などないのではないかと思うのだ。佐野のもちあげていた斎藤龍鳳も、他のジャンルではとうてい通用しないくらいひどいものである。

 私はことあるごとに、芸術は表現(この場合映像)・意識・現実の、この三つの緊張関係を、どれひとつ欠いても成り立たないといいい、意識と存在条件が深くクロスする部分を、表現(映像)の模索にどれだけ批評的に対象化しえたかということにのみ、芸術の思想はあるのだということをいってきた。

 芸術音痴といってしまえばそれまでだが、要するに「感覚世界の変革」ということの意味を、人間の人間的変革の歴史のなかに正しく位置づけてとらえることができず、したがってまた感覚世界の変革ということを大きくふくむ表現の変革ということを、現実意識の変革の問題としてとらえることもできないのである。とかく政治家くずれの批評家にはイメージの意味を思想的に追求する表現論がないが、彼らはしょせん映画「芸術」などどうでもいいのであって、映画批評ということも、けっきょく彼らの政治的アジテーションの道具でしかないのだ。

「政治主義復活批判」(「読書新聞」1963年12月)より
『表現の世界──芸術前衛たちとその思想』所収
http://www.amazon.co.jp/dp/4860291824


松本俊夫 インタビュー
http://www.mokohan.com/matsumoto.html
http://www.bunka-kaigi.com/002special/003/
http://hive.ntticc.or.jp/contents/interview/matsumoto/


松本俊夫実験映像集 DVD-BOX
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http://www.uplink.co.jp/webshop/log/000523.php
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松本俊夫全劇映画 DVD-BOX
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※過去の松本俊夫さん関連
http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=%be%be%cb%dc%bd%d3%c9%d7