昭和五十五年十月十七日(金曜日)
午前十時五分開会
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委員の異動
十月八日
辞任 補欠選任
村田 秀三君 対馬 孝且君
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出席者は左のとおり。
委員長 太田 淳夫君
理 事
後藤 正夫君
林 寛子君
八百板 正君
塩出 啓典君
委 員
岩上 二郎君
長田 裕二君
片山 正英君
上條 勝久君
源田 実君
鍋島 直紹君
吉田 正雄君
佐藤 昭夫君
小西 博行君
山田 勇君
国務大臣
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 中川 一郎君
政府委員
科学技術政務次
官 高平 公友君
科学技術庁長官
官房長 下邨 昭三君
科学技術庁計画
局長 園山 重道君
科学技術庁原子
力局長 石渡 鷹雄君
科学技術庁原子
力安全局長 赤羽 信久君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 児玉 勝臣君
事務局側
常任委員会専門
員 町田 正利君
説明員
防衛庁装備局開
発計画官 筒井 良三君
外務省国際連合
局原子力課長 金子 熊夫君
参考人
日本原子力船開
発事業団理事長 野村 一彦君
日本原子力船開
発事業団専務理
事 倉本 昌昭君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
(原子力安全行政に関する件)
(放射性廃棄物の海洋投棄に関する件)
(新エネルギーの研究開発に関する件)
(原子力船「むつ」問題に関する件)
(技術開発推進体制に関する件)
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http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/093/1685/09310171685002c.html
◇ 旧組織からの情報-19811000 原子力安全年報 昭和56年版 2_3_2_3 過去に行われた海洋投棄 - 原子力規制委員会
1 房総沖等への投棄
昭和30年から昭和44年までの間,(社)日本放射性同位元素協会(現,(社)日本アイソトープ協会)は,約407Ciの放射性物質を主として房総沖へ投棄した。このうち昭和30年は相模湾へ,昭和32年には駿河湾へ,コバルト60をそれぞれ0.2Ci及び0.8Ciを投棄している。投棄位置は,相模湾が北緯34度55分,東径139度25分,駿河湾が北緯34度34分,東径138度32分であった。一方,水産庁東海区水産研究所は昭和55年7月11日及び7月12日に相模湾(北緯35度2分,東径139度25分)の海底土を採取分析し,コバルト−60については,32.7±3.4pCi/kg.dry,セシウム−137については,501±31pCi/kg.dryという値を得た。この値が公表された際,過去の投棄物による影響ではないかという報道がなされた。
これについて科学技術庁は,(i)投棄されていないセシウムの値が,コバルトの値よりも高いこと,(ii)核実験によるフォールアウトからもこの程度の濃度は得られていること等の理由により核実験が原因と考えられる旨発表した。なお,科学技術庁は,東海区水産研究所が測定した濃度は水深1,300mの海底土の値であることを考慮すれば,当該海域で獲られる魚介類を摂取しても人体に直接影響を与えるものではなく,また,昭和30年に投棄されたコバルト−60,0.2キュリーは7ミリキュリーに,昭和32年度に投棄されたコバルト−60,0.8キュリーは39ミリキュリーに減衰しているので問題となることはなく,今後とも追跡調査する必要はない旨の見解の発表を行った。
昭和33年以降は,房総沖へ約406Ciの放射・性物質が投棄された。科学技術庁は従来より日本沿岸の放射能調査により環境に異常のないことを確認してきたが,念のため海上保安庁に依頼して海水及び海底土の採取分析を実施した。また,海上保安庁は昭和55年11月1日及び2日に房総沖投棄地点において,深海水2点及び海底土4点の採取を行い,その放射能分析を行った。
その結果,科学技術庁は,(i)測定値はフォールアウトに起因する放射能水準の幅の中にある。(ii)コバルト−60,セシウム−137及びストロンチウム−90の比が一定の幅の中にある(iii)投棄された放射性物質の大部分を占めるコバルト60が他の核種と比べて特に高くはないことから,投棄海域における放射能水準に異常は認められない旨の見解の発表を行った。
昭和55年10月3日,韓国が日本海に低レベル放射性廃棄物を投棄している旨の報道がなされた。
この件について韓国政府に対し問い合わせが行われた結果,同国政府は昭和43年から昭和47年までの5年間ウツリョウ島南方11海里の韓国領海内(水深約2,200m)に,リン−32,イオウ−35,クロム−51等の核種が付着した金属片,手袋,廃紙,ガラス片,焼却灰等を55ガロンドラム缶へ入れて投棄したことを明らかにした。また同国政府は,投棄本数は115本で表面線量率は0.1〜46mR/hであり,投棄後,韓国政府はモニタリングを昭和47年,昭和48年に実施し,異常のないことを確認していることを明らかにしている。
これについて科学技術庁は,(i)投棄された放射性物質が短半減期のものであること(最も半減期の長いものでもイオウ−35の87.69日である。),(ii)投棄された放射能量は示されていないが表面線量率からみてそれほどの量ではないと考えられること等より,安全上全く問題となるものではないと考える旨の見解を発表した。
3 アメリカにおける投棄
米国は過去昭和21年から昭和44年までの間に太平洋及び大西洋に放射性廃棄物の海洋投棄を行った。
米国が行った初期の投棄については,我が国の試験的海洋処分計画と異なり,投棄地点として比較的浅い水深の水域を選定しており,また投棄体につしいもコンクリート内張りをしたドラム缶に廃棄物を単に詰めこんだもの等現在のIAEAの基準に適合しないものであった。
このため,中空部があったことから,水圧により破損したものもあり,内部の放射性物質が流出したのである。
これらの投棄は,現在の厳重な国際基準が制定される前に行われたものであり,米国の一部の学者から,この投棄による放射能汚染について指摘があったものの,米国でこの問題を担当している環境保護庁(EPA)では,昭和55年9月11日付でFACT SHEETを発表しており,その中で海洋環境に害を与えるような汚染の心配はないという見解を表明している。
なお,指摘のあった海底土汚染の論拠の一部については,その後の公聴会において,米国原子力学会からも,用いられているデータの処理,解析方法等が妥当性を欠くものとの反論がなされている。