工学研究科吉田建築系図書室書庫で発見された映画フィルム「関東大震災」の映像が、7月8日に京都大学デジタルアーカイブシステムで一般公開されました。
本フィルムは昨年10月、吉田建築系図書室の貴重書庫において発見されました。フィルムの素材が、劣化に伴い自然発火を引き起こす恐れのあるナイトレートフィルムであったために、慎重に中身の確認を進めたところ、関東大震災直後の都心の様子を収めた記録映画であることが分かりました。その後、工学研究科建築学専攻と京都大学研究資源アーカイブの協力のもとに、不燃フィルム・デジタル映像ファイルへのメディア変換を進めてきました。この度、その映像が京都大学デジタルアーカイブシステムに収録され、下記サイトで閲覧できるようになりました。
【京都大学デジタルアーカイブシステム】 http://das.rra.museum.kyoto-u.ac.jp/
コレクションからみる>京都帝国大学工学部建築学教室35mmフィルム : 実写 関東地方大震災[, 1923.]>映像全体・一覧をみる>コンテンツをみる
(無声映画・12分35秒)
多くの複製を生んだとされる関東大震災映画フィルムの中で、本資料映像は鮮明さにおいて群を抜くといえます。缶表ラベルに「大阪毎日新聞社」の印刷・押印があり、また冒頭のタイトルコマには「贈 京都帝国大学 大阪毎日新聞社」とあることから、製作者の大阪毎日新聞社から直接贈られたことが窺えます。映像には震災直後の都心の様子が収められており、炎と煙に巻かれていく家屋、広場に集まりひしめき合う群衆、荷物を運び出し避難する人々とその頭上に舞う火の粉まで活写されています。鮮明であるために、看板の文字や人々の細やかな表情も読み取ることができます。また、損壊していた12階建ての浅草・凌雲閣が後日爆破処理されるシーンも含まれています。