想像界とスケイプ
アパデュライは、今日のグローバル化を、都市社会学的研究の趨勢に従い、トランスフォルマティブなフローが離接的に結びつく複雑系として捉える。この新たな空間編制を、アパデュライは、想像界(ラカン)として捉え返し、それを、5つのスケイプ(エスノ・スケイプ、メディア・スケイプ、テクノ・スケイプ、ファイナンス・スケイプ、イデオ・スケイプ)から構成されたものとして分析する。すなわち、アパデュライは「スケイプ」なる概念を採用することによって、普遍的、均質的な空間概念から離れ、グローバル企業、国家、ディアスポラ、家族、個人といった多レベルのアクターの位置に応じたさまざまな想像界が重層的に形成されるプロセスを捉えようとするのである。