Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

アラン・セクーラ | PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭

アラン・セクーラ(Allan Sekula)
1951年アメリカ・ペンシルベニア州エリー生まれ、2013年ロサンゼルス没

1970年代後期からセクーラは写真とテキストによる作品及び理論的著作を通じて、多くの美術家や研究者に影響を与え続けてきた。「写真の意味の創出について」(1975)などの論考は、写真史や写真理論という枠組みを超えて幅広い層に読まれてきた。セクーラの実践の中でも、とりわけ「フィッシュ・ストーリー」(1989–95)は、貿易や物流、労働、その意味や役割といった事柄を横断的に探求・提示してみせることで、政治的矛盾や労働問題の新しい外見を浮かび上がらせた。またセクーラは1999年秋にシアトルで開催された第3回世界貿易機関閣僚会議に対する抗議運動を撮影した。そのスライド写真81枚と短いテキストとで構成される《Waiting for Tear Gas》[催涙ガスを待ちながら](1999–2000)がPARASOPHIAでは出品される。いわゆるジャーナリズム的な撮影方法を拒否して撮られた写真のシークエンスは、立場や役割が定まっているはずの抗議運動という形において、それでもなおゆっくりと流れる不確実な時間を、スライドが切り替わる音とともに呼び起こしている。

http://www.parasophia.jp/artists/allan_sekula/