Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours - 〈B術の生態系〉Bな人のBな術

国立国際美術館B2階のエスカレーター周辺は、実は結構好きな場所だったりする。インフォメーションやミュージアムショップやレストラン等のあるB1階とB2階を繋ぐ上下線のエスカレーターの脇(そこの丸柱に所在なげな「須田悦弘」がある)、B2階展示室とB3階展示室を繋ぐ上下線のエスカレーターの脇、そして奥のトイレ沿いの壁面。そこにキュービックな椅子が並んでいて、ここを訪れた際にはいつもそれに座っている。


国立国際美術館のフロアマップを見ると、そこは「展示室」という事になっていて、その壁面や床面に作品が展示される事もある。今回の「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」展でも、そこは確かに「展示室」だった。壁面上には「ヴォルフガング・ティルマンス」が「ヴォルフガング・ティルマンス」的にインストールされている。床面上には資料展示の台が設置されている。


上述フロアマップのページに掲載されているB2階の写真は原状という事なのだろう。あの椅子はまだ無い。ネット上にある同フロアを撮影した画像を雑略に検証すると、それが登場したのは21世紀ゼロ年代の後半だった様だ。ここに椅子が設置されるに至った経緯は判らないし判る必要も無い。重要なのはそこに座って休める=「展示室」内で座って休むという欲望を観客に喚起させたという事であり、また明らかにその設置によってこの「展示室」の空間的な性格が変質したという事だ。


今回の「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」展の場合、全会場に設置された椅子は、映像の2作品と他に “Freischwimmer" “Sendeschluss" “Weed"(例)が掛けられている部屋にそれぞれ木製の低い長椅子が3つ(以上を以後「A群」とする)、そして件のエスカレーター周辺の椅子(以後「B群」とする)である。

http://d.hatena.ne.jp/murrari/20150903/1441290189
大村益三さんのはてなダイアリーより。


http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=B%A4%CA%BF%CD%A4%CEB%A4%CA%BD%D1