帰国してから、図書館に行って事故の記事を新聞で探したが、まったく見あたらなかった。
つまり、日本人にとってどうでもいい国のどうでもいい事故ということなのだろう。でも、そ
の事故は確実にあった。この世には新聞に載らない「世界の余白」がたくさんある。ぼくはそ
のことを本当は知らなかった。何も知らなかった。
それは死体を目の前にして感じた生きている実感と同じ、当たり前すぎて、今まで考えても
みなかったことだった。ぼくに必要なことのすべてはその「余白」に隠されている気がした。
このネパールへの旅は、すべての旅の始まりだった。
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小野博さんのフォトエッセーを読了。オススメです。
ちなみに帯文は、
世界の真っ正面に立つ写真家が、
きれぎれに寸断された崩壊後の世界の地表を
ゆっくりと一本の道へとつなげる＜廃地＞への旅
31枚の写真と24本のエッセイによるディストピアの記録！難民／宗教問題／アフガン内紛／ロマ民族／オウム真理教／サラエボ
旧ソ連諸国／ハイパーインフレ／大震災／貧困／人口爆発／多産多死
民族虐殺／パレスチナ／麻薬／消費社会／不法移民／贈賄／故郷喪失
です。
小野さんは来年２月に倉敷の大原美術館で個展を開催されるとのこと。
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